奇人の扱い方  vol.1072

◇ 江戸の寛政年間には

 「寛政の三奇人」

 と呼ばれる人がいた。

 

 林子平(経世家)

 高山彦九郎(尊皇思想家)

 蒲生君平(儒学者)   の3人だ。

 

 

◇ たとえば高山は、

  将軍の世にあえて熱心に

  尊王思想を説いた。

 

明らかに「変わりもの」である。

 

では、それに対して幕府から

おとがめがあったかといえば、

 

そんなことはない。

 

単に「あいつは変わっている」

「あいつは別」ということで済んだ。

 

「奇人」というカテゴリーに

スッポリ入れてしまった。

 

こうゆう寛容性というか、

自由な風潮が、

江戸時代には確かにあった。

 

◇ 変わった人は人なりに、

  奇人は奇人なりに、

 

  世間でポジションを

  得ることができた。

 

しかしこういうシステムは

あくまでも鎖国が前提であった。

 

外国人が入ってくると維持できない。

 

外国から多少珍しいモノが

入ってくるぐらいであれば、

 問題はなかった。

 

◇ しかし、人が入ってくると

    厄介になる。

 

 それまでの日本の常識を

    変えなくてはいけない。

 

変えないという選択筋も

あったのかもしれないが、

 

少なくとも日本は

そういう道を選ばなかった。

 

そして開国によって、

社会制度や法律は変えたが、

 

生身の人間は、

その変化にはついていけなかった。

 

当然、トラブルが起きる。

 

それで起きたのが

「攘夷運動」だった。

 

◇ それまではうまくいっていたことが、

     うまくいかなくなった。

 

 ならば、

 

「要するに外人を入れなければ、

                        うまくいくだろう」

 

そういう考え方に進んでいった。

 

結局、現代社会も同じようなもので、

移民反対論にまでつながっている。

 

近代以降、

日本の社会はずっと同じ問題を

解決できないままになっているのである。

 

すなわち

 

「新しい他人や外語人と

              どうつきあうか」

 

少なくとも

「奇人」「変わり者」

扱いにおいては、

 

江戸時代のほうが上手であった。

 

 

今日一日の人生を大切に!

トンビ博士

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