◇ オーストリアの詩人、
リルケに自作の詩を送った
フランツ・カプスという若い詩人がいた。
彼はリルケに自分の詩の批評を求めて
手紙を書いたが、
リルケはその申し出を断った。
批評を求めることなどは
一切やめるようにと、
リルケは返信の中で
次のように書いている。
あなたの夜の最も静かな時間に、
自分は書かずにはいられないのか、
とご自分にお尋ねなさい。
(リルケ『若い詩人への手紙』)
◇ 当時、カプスは
自分は軍人ではなく、
詩人になるべきではないかと
迷っていた。
「自分は書かずにはいられないのか」
という問いに対して,
「書かずにはいられない」
という返事ができるのであれば、
「生活をこの必然性に
したがってたてなさい」
というのがリルケの答であった。
◇ 書かずにはいられないと
思えるのであれば、
自分が書いたものが他の人から
どう評価されるかは
問題にならなくなるだろうし、
自分がどう生きていくかは、
その答えから必然的に導き出される。
決して、他の人から
指示されることではなく、
他の人の期待に
合わせるようなことではない。
◇ 自分が自分のために自分の人生を
生きていないのであれば、
一体、誰が自分のために
生きてくれるのだろうか。
というユダヤ教の教えがある。
どんなことをしても自分のことを
よく思わない人はいる。
10人の人がいれば1人は、
あなたのことをよく思わないだろう。
10人のうち、7人はその時々で
態度を変えるような人かもしれない。
一方、残りの2人くらいは、
何をしてもあなたを受け入れてくれる人に
なってくれるはずだ。
あなたはその「2人」と
付き合っていけばよいのであって、
残りの8人、
とりわけ何をしてもよく思わない
1人のことで心を煩わす必要はない。
それより大切なのは、
自分が自分のために自分の人生を
生きることなのだ。
<今日の名言>
文学は死と向き合う環境から生み出され
初めて人の心を打つ
多湖輝(千葉大学名誉教授)
*死ぬほど苦労をしないと人の心は読めません。
今日一日の人生を大切に!