人能(よ)く己れを虚(むなしゅ)うせば、
善を人に取る
◇ 水戸藩主の徳川光圀は
中国から亡命してきた大学者
朱舜水(しゅしゅんすい)から、
ラーメンを教わり食したとされる。
日本史上、朱舜水の存在は非常に大きい。
彼の影響下で成立した水戸学は、
昭和の戦前までこの国の歴史に影響した。
ただ、その陰で忘れかけた人物がいる。
それが「安東省庵」である。
◇ 長崎に流されてきた朱舜水に献身し、
日本での活羅の道をひらいた。
彼は勇猛で知られる
柳川藩立花家の士 であった。
すべてに対して命がけ !
「学ばずに生きれば獣、
獣になるなら死ぬ」 と
本当に死ぬ寸前まで学問した。
◇ 天草の乱の時、
悪い病気で全身
膿と血だらけだったが、
江戸から駆けつけ、
城壁に突進。
それが16歳の時だ。
すでに求道者の趣があった。
だから、朱舜水が来たと知ると、
たちまち長崎に行って弟子の礼をとり、
自分の禄米の半分を舜水に提供した。
ぼろもろの衣と鍋ひとつになってまで
師の暮らしを支えた。
◇ 彼にとって学問は、
納得できるまでさぐること。
「仁に志す、言を慎む、己を虚す」
この三か条を心がけて
暮らそうと弟子にいった。
大河や海は、
己を虚にしているから飲み込める。
海のような男になれ!
そうすれば善なるものを
他人から学べる。
死に臨んでは、
自分の墓碑銘や伝記、
文集を編むのを禁じた。
「我、才なく徳なし。
死んでまで人を欺きたくない」
そう言い残して逝った。
あっばれ省庵!
<今日の名言>
凧が一番高く上がるのは、
風に向かっているときである。
風に流されているときではない
ウインストン・チャーチル
*逆境に陥ったときほど、秘めていた本当の力が
目覚める場合もあります。
風に流されず、自分が信じる道を
突き進んでいきましょう。
今日一日の人生を大切に!