ちいさなちいさな王様   vol.1025

現代ドイツの童話作家

  アクセル・ハッケ作

  「ちいさなちいさな王様」


◇ ある日、

 人差し指ぐらいしかない王様が

 気まぐれに「僕」の家に現れた。

 

その王子の国では、

生まれたときがいちばん大きくて、

 

数学もできるし、

仕事もお食事会もこなせる。

 

やがて年をとるにつれて

小さくなっていき、

 

仕事はしなくてよくなり、

いろんなことから解放されて、

 

頭のなかを遊びや空想で埋めて

楽しんでいれば、良い日を過ごし、

 

ついにはほんとうにケシ粒のように

小さくなって消えてなくなってしまう。

 

その王様が

 少年に言ったことは鋭い。

 

  おまえたちは、

  はじめにすべての可能性を

  与えられているのに、

 

毎日、それが少しずつ奪われて

縮んでいくのだ。

 

おまえたちの想像の世界は

どんどん小さくなっていき、

 

ある日、

おまえたちは実際、

 

消防士とか看護婦といった

何者かになってしまっていることに

気がつくのだ。

 

そしてもはや、

なにかまったく別のものに

なりたくてもなれない。

 

こう考えると、

大きくなるというより、

 

小さくなっていく、と

いったほうがいいのではないか?

 

我々は過去に

  縛られながら生きている。

 

  知識をつめばつむほど、

  経験を経験を重ねれば重ねるほど、

 

「心の壁」は強固になる。

 

そういった現象だけを見ていると、

決して成長しているとか、

賢くなっているとはいえない。

 

夢は小さくなり、

大胆な発想もできなくなる。

 

そしてそのプロセスを打破できる人は

ごくわずかなのである。

 

我々は、まさに「ちいさな国」に

生きているのかもしれない。

 

 

<今日の名言>

知識も大切だが、知恵をもっと出せ。

知識は比較的簡単に手に入るが、

知恵は大きな努力と体験がないと

なかなか手に入らない。

    日清食品創業者 安藤百福

 

*知識とは単に物事を知ること。

 知恵とは「問題解決能力」のこと。

 知恵は貴重な財産となる。

今日一日の人生を大切に!

トンビ博士

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