◇ 現代ドイツの童話作家
アクセル・ハッケ作
「ちいさなちいさな王様」
◇ ある日、
人差し指ぐらいしかない王様が
気まぐれに「僕」の家に現れた。
その王子の国では、
生まれたときがいちばん大きくて、
数学もできるし、
仕事もお食事会もこなせる。
やがて年をとるにつれて
小さくなっていき、
仕事はしなくてよくなり、
いろんなことから解放されて、
頭のなかを遊びや空想で埋めて
楽しんでいれば、良い日を過ごし、
ついにはほんとうにケシ粒のように
小さくなって消えてなくなってしまう。
◇ その王様が
少年に言ったことは鋭い。
おまえたちは、
はじめにすべての可能性を
与えられているのに、
毎日、それが少しずつ奪われて
縮んでいくのだ。
おまえたちの想像の世界は
どんどん小さくなっていき、
ある日、
おまえたちは実際、
消防士とか看護婦といった
何者かになってしまっていることに
気がつくのだ。
そしてもはや、
なにかまったく別のものに
なりたくてもなれない。
こう考えると、
大きくなるというより、
小さくなっていく、と
いったほうがいいのではないか?
◇ 我々は過去に
縛られながら生きている。
知識をつめばつむほど、
経験を経験を重ねれば重ねるほど、
「心の壁」は強固になる。
そういった現象だけを見ていると、
決して成長しているとか、
賢くなっているとはいえない。
夢は小さくなり、
大胆な発想もできなくなる。
そしてそのプロセスを打破できる人は
ごくわずかなのである。
我々は、まさに「ちいさな国」に
生きているのかもしれない。
<今日の名言>
知識も大切だが、知恵をもっと出せ。
知識は比較的簡単に手に入るが、
知恵は大きな努力と体験がないと
なかなか手に入らない。
日清食品創業者 安藤百福
*知識とは単に物事を知ること。
知恵とは「問題解決能力」のこと。
知恵は貴重な財産となる。
今日一日の人生を大切に!