死ぬまで働く「無定年」時代の到来 ④     vol.972

そして経済環境の変化は、

    さらに大きな力で高齢者を動かす。

 

  年金給付抑制策である

  マクロ経済スライドが実行されれば、

 

基礎年金の縮小額が

大きくなるといわれる点だ。

 

公的年金はこれまで、

国民年金と共通の

1階部分」の基礎年金の場合、

 

物価や賃金の変動の状況によって

どちらかを基準に給付額を動かす

仕組みとなっていた。

 

一方、「2階部分」に当たる

厚生年金の報酬比例部分は、

 

賃金の変動に応じて

その額を動かしてきた。

 

ところが、90年代後半から

賃金下落が目立ち始めた。

 

基礎年金では賃金より下落幅が小さい

物価変動に合わせて調整されることが多くなり、

 

基礎年金の方が2階部分より

過剰給付になっていたのである。

 

2016年の年金制度改正で

このゆがみは是正されることになったが、

 

今後マクロ経済スライドが実施されると、

 

今度は基礎年金部分の縮小が

より大きくなるとみられている。

 

これはどういうことかというと、

 

 現役世代の賃金が低い世帯ほど

 年金収入額の減少割合が

 大きくなということだ。

 

これは賃金が低い人ほど、

厚生年金の報酬比例部分の割合が小さく、

基礎年金の割合が大きくなるためだ。

 

今すぐこの変動が

起きるわけではないが,

 

しかし、マクロ経済スライドが

毎年実施されれば、

着実に縮小へ向かうことになる。

 

そうなれば中・低年金層ほど

働かざるを得なくなる。

 

いわば年金改革が「逆進性」を

引き起こす皮肉な状況なのだ。

 

もう一つ、

 働く高齢者を増やす要因がある。

 

「やがて高齢者世帯の中で

   単身世帯が最も多くなりかねない」

 

社会保障関係者の中で今、

こんな声が広がりつつある。

 

厚労省が公的年金の政策立案の際に

常に「標準」とするのは、

 

夫婦のみの2人世帯

 

ところが、実際には

高齢者の単身世帯が

ここ十数年、大幅に増えているのである。

              つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

トンビ博士

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