死ぬまで働く「無定年」時代の到来 ② vol.970

だが、

 本当に年金は大丈夫なのか?

 

  今夏、ある試算が示された。

   2051年には国民年金の積立金、

 

  55年には厚生年金の積立金が

  枯渇する可能性がある──。

 

西沢和彦氏と
(日本総合研究所主席研究員)

中田大悟氏が示したものだ。
(創価大学准教授)

 

100年先はおろか、

  50年も持たない。

 

 なぜ、ここまで差が出るのか。

 

まず、政府が試算の前提とする

経済状況が実態から

乖離していることが大きい。

 

物価上昇率や賃金上昇率、

積立金の運用利回りなどが

政府試算は楽観的なのだ。

 

現実的な経済環境を踏まえれば、

積立金の取り崩しペースはもっと速い。

 

政府がそもそも100年後も安心」

と唱える裏には、

 

給付額を抑制する仕組みを

導入していることがある。

 

「マクロ経済スライド」と呼ぶもので、

04年の年金改革時に取り入れられた。

 

それまでは前年の賃金や

物価上昇率に応じて

年金額を改定してきたが、

 

04年改革以後は、

そこから労働力人口の増減や、

 

平均余命の伸びを基に決めた

12%程度の抑制分を

差し引いて給付額を決める方法にした。

 

例えば、前年の賃金上昇率が

  0.5%で、スライド調整率が1%なら、

 

 差し引き0.5%のマイナス。

 

 給付額もこの分減る。

 

こうすれば、年金受給者が増えても

給付額の膨張を抑えられ、

積立金を取り崩すペースも遅くなる。

 

結果、

100年後も積立金が

枯渇することはない、

 

というのが政府の見立てだ。

 

ところが、給付抑制策には

  ある縛りがかけられている。

 

前年度の名目給付額を

下回らないようにする

「名目下限措置」だ。

 

上記のようなケースでは

給付額は前年と同じになる。

 

だが、デフレ環境下で賃金上昇率が

ずっと抑えられてきたため、

 

マクロ経済スライドは

実際には15年の1回しか機能していない。

 

この結果、年金給付額は

当初想定よりも過払いになっており、

その分、積立金を減らしている。

 

前述の西沢氏と中田氏の試算は

「名目下限措置」を残したまま、

現実的な数値に基づいて試算している。

 

その結果、予測される

50年代前半での積立金の枯渇

 

その後は文字通り、

悲惨な状況が待ち受ける。

                           つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

トンビ博士

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