◇ 孫子では、
こうした根本的な言葉と共に、
具体的な内容も数多く出てくる。
元来は戦略の書物のため、
戦略に関する言葉も拾ってみることにする。
凡(およ)そ戦いは正を以って合い、
奇を以って勝つ
(兵勢篇第五)
まずは正攻法で相手に当たり、
その後で意表をつく戦法を
組み合わせて戦えば勝てる、 ということ。
最初は定石どおりに戦え、
ということだろう。
もちろん、
定石を知っていることが必要だ。
「奇」というのは、相手の弱点をついたり、
相手の関心のない分野に進出したり、
今まで行われていない方法で
攻めるといったことになる。
これもSWOT分析で
世の中の流れを見ることで、
「奇」 が見えてくる。
◇ 次は「五事」の中の
「将」に関する言葉だ。
孫子には、リーダーに関する言葉が
多く出てくる。
その一つが、
将とは、智、信、仁、勇、厳なり
(始計篇第一)
つまり、
リーダーは知恵があり聡いこと(智)
他人から信頼されること(信)
人を思いやること(仁)
勇気があること(勇)
落ち着きと厳しさがあること(厳)
が必要であると言っている。
この五つの資質が全部そろった
経営者や指導者ならば、
スゴイ人物ということになる。
大きく成功をした経営者は、
そのような人かもしれない。
◇ それはともかく、
「智」が第一にあげられている。
これは、
知識があるということではなく、
物事を論理的に考えられたり、
有効な戦略を考える力がある
ということを指している。
そのためには、経営者は普段から
勉強をすることが必要であり、
いつも経営について
考え続けることが求められる。
そのうえで、人望の厚い人間になることが
経営者に必要だということだろう。
◇ さて、最後に
経営者へのいましめのことばを紹介する。
兵に常勝なく、水に常形なし
(虚実篇第六)
この言葉の意味は、
「水に決まった形が無いように、
軍にもいつも勢いがあるわけではない」
ということになる。
つまり、企業や経営には
勢いというものが必要だが、
いつもその勢いが続く
というものではない。
調子が良くて、
イケイケどんどんで進んでいくと、
思わず足元をすくわれることもある。
つまり、経営者は勢いを緩めることも
必要だと言っている。
業績が伸び続けている企業にとっては、
なかなか難しいことかもしれない。
しかし、今回のコロナのために
やむなく勢いが止まってしまった企業もある。
そうした企業は、
今が勢いを緩めるときだ、と思えばいい。
そして、孫子はそうしたリズムを
意図的に作り出すことが
必要だと言っている。
それが出来る経営者は
なかなかいないとは思う。
以上「孫子」の中から五つの言葉を
ピックアップしてみた。
孫子には、こうした経営へのヒントが
詰まっている。
あなたも時間ができたら、
読んでみてはいかがだろうか。
完
今日一日の人生を大切に!