<リスクその1:安全保障>
◇ 安全保障では、
米国バイデン政権が、
同盟国を団結させて対抗する兆候を
明らかにしてきた。
米国の国務長官認証聴聞会で、
「イラン」には73回、
「中国」には66回も言及。
国防長官認証聴聞会でも、
「中国」には74回、
「イラン」には10回言及したという。
これは、総合的な外交と防衛の戦略で、
圧倒的に中国に焦点を合せていることを
意味している。
◇ 米同盟国は先進国を網羅しており、
とうてい中国の及ぶところでない。
それだけに、一旦緩急あらば、
中国は包囲される潜在的リスクを抱えている。
習近平氏は、このリスクに気付かず
「火遊び」を重ねてきた。
今やこの積み重ねによって、
大きな危険性を身に纏ったのである。
<リスクその2:経済>
◇ 安全保障リスクだけが、
中国の運命を脅かしているのではない。
経済面でも大きな課題を抱えている。
昨年の中国経済が、
主要国で唯一のプラス成長(2.3%)を
実現したことで、
2020年代後半に米中GDPが
逆転するという予測が出始めている。
これは、成長の中身を問わない
「無責任」な予測という色彩が濃い。
人口動態の急速悪化という
メガトレンドを無視して、
経済のマラソンレースの順位を
予想するような無謀なものである。
米中GDP逆転は、
人口動態からして、あり得ない。
◇ 中国は現在、自分の犯してきた
「無謀」の影に怯えている。
それは、南シナ海と
尖閣諸島を巡る問題である。
中国の指導部は、
日本の海上保安庁に相当する組織である
海警局の役割を強化した。
2月1日から実施された。
海警局警備船が武装化して、
公海上で他国船舶を「臨検」したり、
航海を妨害する権限を持つことは、
極めて危険な動きである。
戦時では軍の指揮下に入り
一体的に運用するという。
これは周辺国にとって大きな脅威となる。
◇ 米国務省はアジア各国と
緊密な連絡を取っている。
ブリンケン国務長官は、
フィリピンのロクシン外相と電話会談し、
国際法で認められていない南シナ海での
中国の権益主張を拒否する
米政府の考えを伝達し、
中国に対抗する姿勢を示した。
国務省によると、ブリンケン氏は、
南シナ海での中国の海洋進出を念頭に、
フィリピンの軍や船舶、
航空機が攻撃された場合、
米比相互防衛条約の
適用対象になることも確認した。
中国の圧力に直面する
東南アジア諸国との協力も約束した。
ブリンケン氏は、オーストラリアの
ペイン外相とも同日、電話会談し、
インド太平洋で志を同じくする国々と
協力を強化する方針を確認。
タイのドーン副首相兼外相とも
電話会談した。
こういう慌ただしい動きと同様に、
日本政府は1月末、
首相官邸で国家安全保障会議(NSC)
4大臣会合を開き、
中国の海警法制定を巡り協議した。
海上保安庁を管轄する
赤羽一嘉国土交通相も出席した。
議題を「尖閣諸島を含む
東アジア安全保障情勢について」と発表した。
これは外部に向かって危機感を
表明したものだ。
つづく
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