◇ グローバルサプライチェーンを
コントロールするのは、
一部のグローバル企業であり、
その他の多くの企業は下請になる。
素材、部品、加工、組み立て等の
部分的な工程を担うだけで、
完成品は生産できない。
価格決定権もなく、自らのビジネスを
コントロールすることもできない。
下請同士の競争により、
常にコストダウンの圧力が掛かる。
◇ 貧しい企業は常に貧しく、
貧しい国は常に貧しい。
巨大なビジネス全体を
コントロールする者だけが富を得る。
支配者は全体をコントロールし、
被支配者は部分を担当する。
決して、全体を見せることはない。
個人にはできるだけ、
人生全体を考えさせないようにする。
仕事だけを考え、仕事に集中させる。
仕事に集中することが幸せへの道だと
信じ込ませるのである。
◇ 国政や外交に興味を持たせず、
自分の利益だけを追求するように
仕向ける。
起業や独立ではなく、
組織の一部として働くことを推奨する。
自分の頭で考えるのではなく、
マスコミの情報操作を
素直に信じることが、
独裁者の理想である。
同時に、
国民には自国が良い国であり、
自分は幸せだと思わせる。
そのために、マスコミを支配し、
情報をコントロールしなければならない。
◇ 国民が幸せだと思っている国は
良い国だ。
それは間違いない。
国民が幸せだと思う条件は、
一定レベル以上の文化的な生活が
保障されることだろう。
社会保障でもいいし、
所得の分配でもいい。
それさえ保障してくれれば、
一部の支配者が富を独占したとしても
誰も文句は言わない。
問題は、新技術の発明や進化によって、
グローバルサプライチェーン全体が
変更を余儀なくされる時である。
しかし、選択と集中による
グローバルサプライチェーンは、
最適な経済合理性を追求したがゆえに、
他の分野に転換することが困難だ。
ビジネス全体が機能しなくなると、
支配者階級は莫大な富を失う。
◇ また、被支配者である一般国民も、
企業倒産や大量失業が発生し、
生活の維持が困難になる。
こうなると、
幸せだと思うことはできず、
不満が溜まることになる。
もし、グローバリゼーションではなく、
サプライチェーンが地域ごとに
自立していれば、
富も分散し、リスクも分散する。
最も経済合理性の高いビジネスに
集中するのではなく、
生活に必要なビジネスに分散し、
利益配分もそれに見合うように設定する。
限りないコストダウンを
追求するのではなく、
生産者の生活を考慮した
利益配分を行うのである。
アンチグローバルとは、
単なる保守主義ではなく、
リスク回避策でもあるのだ。
◇ 現在は、グローバリズムが
行き詰まっている。
その背景には産業の転換や
デジタル技術の進化がある。
そもそもインターネットの思想は
分散処理によるリスク回避である。
独占的な企業が市場を支配する
ツールとしては向いていない。
独占したければ、情報システムも
中央集権的に設計しなければ
ならないだろう。
つづく
今日一日の人生を大切に!