「不寛容」という病に陥っている日本    vol.938

塩野七生氏は、

  名著『ローマ人の物語』の冒頭で、

  こんなことを書いている。

 

知力ではギリシア人に劣り、

体力ではケルトやゲルマン人に劣り、

 

技術力ではエトルリア人に劣り、

経済力ではカルタゴ人に劣るローマ人だけが、

 

なぜ巨大な世界帝国を

繁栄させることができたのか?

 

この「なぜローマ人だけが」の

理由の一つが「寛容さ」だった。

 

ローマ同様、

 この寛容さをもって国を

 大発展させたのが、アメリカであった。

 

本日ご紹介する一冊、

 

『不寛容論 アメリカが生んだ

     「共存」の哲学』は、

 

このアメリカの寛容論の

ルーツに迫る一冊である。

 

 

ロックより半世紀も前に

  ロックより進んだ寛容論を唱えた

     ロジャー・ウィリアムズの生涯を追い、

 

 アメリカが歴史的な

 寛容と不寛容のぶつかり合いを経て、

 

現在の基盤を作るに至った

歴史を紹介している。

 

現在のリベラリズムが説く、

理想主義の「寛容さ」とは一線を画す主張に、

思わず目からウロコが落ちた。

 

知性とユーモア、

そして人間愛にあふれた文章に、

すっかり魅了されてしまった。

 

◇「寛容さ」を欠いた社会に、

  明るい未来はない。

 

 なぜなら、多様性を受け入れない、

 実力を認めない社会には、

 真の実力者が集まってこないからだ。

 

最近のTwitterでの議論や

マスコミの論調を見ていると、

 

日本は明らかに「不寛容」という病に

陥っているように見える。

 

日本が再び発展するために、

ぜひ、読んで議論の材料にしたい一冊だ。

 

 

今日一日の人生を大切に!

トンビ博士

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