◇ 塩野七生氏は、
名著『ローマ人の物語』の冒頭で、
こんなことを書いている。
知力ではギリシア人に劣り、
体力ではケルトやゲルマン人に劣り、
技術力ではエトルリア人に劣り、
経済力ではカルタゴ人に劣るローマ人だけが、
なぜ巨大な世界帝国を
繁栄させることができたのか?
この「なぜローマ人だけが」の
理由の一つが「寛容さ」だった。
◇ ローマ同様、
この寛容さをもって国を
大発展させたのが、アメリカであった。
本日ご紹介する一冊、
『不寛容論 アメリカが生んだ
「共存」の哲学』は、
このアメリカの寛容論の
ルーツに迫る一冊である。
◇ ロックより半世紀も前に
ロックより進んだ寛容論を唱えた
ロジャー・ウィリアムズの生涯を追い、
アメリカが歴史的な
寛容と不寛容のぶつかり合いを経て、
現在の基盤を作るに至った
歴史を紹介している。
現在のリベラリズムが説く、
理想主義の「寛容さ」とは一線を画す主張に、
思わず目からウロコが落ちた。
知性とユーモア、
そして人間愛にあふれた文章に、
すっかり魅了されてしまった。
◇「寛容さ」を欠いた社会に、
明るい未来はない。
なぜなら、多様性を受け入れない、
実力を認めない社会には、
真の実力者が集まってこないからだ。
最近のTwitterでの議論や
マスコミの論調を見ていると、
日本は明らかに「不寛容」という病に
陥っているように見える。
日本が再び発展するために、
ぜひ、読んで議論の材料にしたい一冊だ。
今日一日の人生を大切に!