雨にも負け、風にも負けつつ 生きている
柔らかき草 ひとを坐らす
伊藤一彦 「歌集 月の夜声」
◇ 「雨二モマケズ」の詩は宮沢賢治の死後、
遺品のトランクに納められていた
小さな手帳のなかから見つかった。
賢治は東北の人である。
◇ 雨を受けてはうなだれ、
風を受けては地に伏す草。
敗者とも呼べば呼べるその草が、
人に憩いの場を提供してくれる。
勝つことだけが人生ではないと
教えているかのように。
◇ 人は孤独のさびしさに
敗れることもある。
しかし弱い草ばかりでもない。
「疾風に勁草を知る」
という言葉がある。
強風が吹くと、
たいていの草は弱々しくなびくが、
そのなかにピンと立っている強い草もある。
人間なんでも奇胎に瀕したときに、
その真価がみえる。
ときには自らを
疾風にさらすことも必要だ。
◇ 伊藤氏の歌をもう一首。
百年はおろか 十年の孤独にも
耐え得ぬ我か 琥珀いろ飲む
「百年の孤独」はノーベル賞作家、
ガルシア=マルケスの作品名であり、
「麦焼酎の銘柄」 でもある。
伊藤氏は酒の歌が多い。
歌に「飲む」ではなく
「呑む」を使う歌人は要注意である。
今宵もまた
グラスの淵に孤独をはべらせ
琥珀いろ呑む トンビ博士
<今日の名言>
できるビジネスパーソンとは、
「わかりやすい」「はやい」を備えている人
松本 大(マネックスグループ株式会社CEO)
*この2つが欠けるとビジネスの世界では
大成しないかもしれません。