◇ トンビは常々、
「老後不安をなくすには
老後をなくせばいい」
と思っている。
「老後をなくす」というのは、
「現役で働き続ける」
ということにほかならない。
◇ 多くの会社員は定年後、
働くのを辞めてしまう。
最近では定年後の再雇用制度が
広がってきてはいるが、
それでも大半の企業は65歳までしか
仕事を続けることができない。
つまり、生涯現役で働いている人は
それほど多くはないということになる。
ところが先日、
落語家の立川談慶氏の
「老後は非マジメのすすめ」
という本を読んだ。
その中にとても興味深いことが
書いてあった。
◇ 落語の世界を通じて
老後の様々な生き方や考え方について
考察するユニークな内容だが、
冒頭に、
「そもそも『老後』という
概念のない落語の世界」
という一節が出てくる。
現在演じられている落語の多くは
江戸時代後半から明治期にかけての
庶民の生活がベースになっている。
当時、働いている人の多くは勤め人、
すなわち会社員ではなく、
今でいう自営業だった。
従って、落語に登場する人物も
都会では商人や職人といった人たちであり
地方なら農民や漁師ということになる。
彼らの多くは
生涯現役で仕事をしていた。
つまり、働けなくなったら
「お迎えが来る」のが常識だった。
◇「人生100年時代は70歳まで働く」
といったように、
長く働き続ける機運が
出てきたと思うかもしれないが、
日本ではずっと昔から
元気なうちは働き続けるのが
普通だったのである。
◇ もちろん、落語には
ご隠居さんが登場する。
ご隠居さんは確かに仕事は
引退しているが、
決して人生を引退したわけではない。
町内のまとめ役であったり、
もめ事の仲裁役であったり、
立派に世の中の役に立っており、
人生ではバリバリの現役なのだ。
つまるところ、仕事をするかどうか、
その量が多いか少ないかは別として、
年を取っても社会と関わり続けることが、
元気であり続ける秘訣なのだろう。
つづく
今日一日の人生を大切に!