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ニホニウム(原子番号113) のはかなさ vol.822

ロシアの皇太子ニコライの 日本訪問は、

    1891年(明治24年)、

 

滋賀県で警備の巡査・津田三蔵に

切りつけられて負傷した、

 

あの 大津事件 である。

 

裁判では、津田は死刑を免れ、

    無期徒刑となり、

 

日本政府内では、外務大臣(青木周蔵)

内務大臣(西郷従道)が責任を負って辞職した。

 

その皇太子ニコライの随行者に

    ウラジミールという海軍士官がいた。

 

いかなる縁かは定かではないが、

長崎滞在中に日本人女性タカと恋に落ちた。

 

そしてタカは身ごもり、

海軍士官はやがてロシアに帰る。

 

タカは手紙で

    ウラジミールに知らせている。

 

「娘が生まれました。

   富士山にちなんで

   オフジと名付けました」

 

ウラジミールの姓は、

 

    メンデレーエフ

 

彼の父親は元素の周期表で

科学史に名前を刻んだ科学者

ドミトリー・メンデレーエフ  である。
(1834〜1907)

 

タカの手紙はサンクトペテルブルクの

メンデレーエフ博物館・文書館に

保存されている。

 

ウラジミールは33歳で病死し、

    その後は父であるドミトリーが

    タカへの送金を続けた。

 

  化学者は遠い島国で暮らす孫娘を

  案じながら晩年を過ごしたという。

 

二ホニウムは、

 

   原子番号113の元素

 

   原子記号は Nh

 

2015年、

元素合成に成功した理化学研究所に、

原子番号113の命名権が与えられた。

 

ニホニウムという元素は、

    合成して 平均0.002で、

 

別の元素に姿を変えて

壊れていくという。

 

ウラジミールとタカの

はかなく切ない恋のようである。

 

 

今日一日の人生を大切に!

トンビ博士

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