◇ 貧困家庭に育った人でも、
学問の世界で成功した偉人と
いわれる人が大勢いる。
こういった人は、必ずしも
学歴が高い人ばかりではない。
しかし、人の学歴は遺伝的な影響も
強いことが確認されたというのが
本日の話題。
これは、米国南カリフォルニア大学の
ダニエル・ベンジャミン教授らが、
英科学誌ネイチャーに掲載したものだ。
◇ 研究では、高学歴あるいは
あまり学歴がない人について、
遺伝子を調べた。
その結果、人の学歴をある程度決定する
74の遺伝子を特定し、
学歴はこれらの遺伝子にどのような
変異があるかで決まるということ。
ただし遺伝子が学歴に与える影響は、
食生活や家庭環境、機会などの
環境要因と比べるとごくわずかで、
その割合は0.5%にも満たないとのことだ。
しかし、意志の強さや議論が好きといった
性格に関係する遺伝子が、
教育の成果やその人の学歴を
左右するというのは十分に考えられる。
遺伝子を学歴や知性と直接
結びつけるべきではないと述べてはいるが、
その一方で、今回の研究結果によって、
遺伝子が人間の行動に与える影響は、
環境によってどのように変化するかの
理解につながるとしている。
なるほど、そういえば、
子ども頃の自制心がその後の人生における
長期的な成功と関連するという、
米国の「マシュマロ実験」を思い出した。
◇ マシュマロ実験は
1960年代後半から1970年代前半にかけて
スタンフォード大学の心理学者
ウォルター・ミシェル氏が実施したもので、
マシュマロを使って子どもたちの自制心と
将来の社会的成果の関連性を測ることを
目的としていた。
◇ スタンフォード大学で行われた
マシュマロ実験には、
4歳の子どもたち186人が
被験者として参加し、
子どもたちは一人ずつ、
マシュマロ1個と
机とイスだけがある部屋に通された。
実験者は、
「私が帰ってくるまでの15分の間、
マシュマロを食べるのをがまんしたら、
マシュマロをもう1つあげる」
と子どもたちに告げて部屋を去り、
その後の子どもたちの行動を観察。
その結果、実験者が戻ってくるまで
がまんをし通して2個目のマシュマロを
手に入れた子どもは 3分の1ほどで、
追跡調査の結果、
マシュマロを食べなかったグループは
後の人生で優秀だと評価されたことが判明した。
マシュマロを食べた子どもと
最後まで食べなかった子どもでは、
大学進学適性試験(SAT)の点数が、
トータルスコアで 210点 も
異なることも判明している。
◇ この実験により、
「子どもたちをとりまく環境は、
その後の子どもたちの人生にとって
重要である」
という重大な事実を明るみにした。
つまり、遺伝子が知性や学力
に直接つながるということではなく、
性格に関する遺伝子が、
その後の環境によって
どのように変化したの方が
重要だということだろう。
遺伝子は親から引き継がれるため、
変えようがないが、
忍耐強い子供に育てることが、
子育ての上で重要なポイントとなる。
今日一日の人生を大切に!