◇ 実は、トランプ大統領が
新型コロナの発祥地を
武漢のウイルス研究所であると
言い放った日をさかのぼること半月前、
ワシントンポスト紙に
以下のような記事が掲載された。
新型コロナウイルスによる
パンデミック発生の2年前、
米大使館員が中国・湖北省武漢市にある
中国科学院武漢病毒研究所を何回も訪れ、
安全管理について警告を発した。
同研究所はコウモリのコロナウイルスに関する
危険な研究をしており、
SARSのようなパンデミックを
新たに起こす可能性がある。
ウイルス研究所の所員らは
米大使館の専門家に対し、
「研究所の安全を保つための
技術者が不足している」と訴えたという。
◇ ワシントンポスト紙は、
ウイルスが人工的に開発されたのではなく、
動物に由来すると多くの科学者が
考えているとしながらも、
武漢の研究所から漏れ出した可能性は
否定できないと指摘した。
もちろん、こうした米国サイドの見方に
中国政府は反発している。
アメリカが持ち込んだのではないかと、
他国のせいにするのも毎度のことだ。
しかし、現時点での米中両国を見る限りでは、
少なくとも“コロナ戦線”に関しては、
中国に米国が手綱を握られている感じがする。
◇ サプライチェーンの
重要なパートを中国が占めているために、
今いちばん必要な医療用具やマスク、
消毒液などが、北京政府の指示で
中国の製造工場にとどまり、
他国に輸出できる数量が
限られてしまっているからだ。
北京を本気で怒らせると、
医療崩壊がますます進み、
自給自足でもしない限り
コロナ地獄から抜け出せないのではないか。
そんな恐れさえ抱かせる。
極端に言うなら、
国家の命運を人権軽視の独裁国家に
握られているような、
困った事態になっているのだ。
◇ 新型コロナが米国で流行する前、
アメリカではマスク、人工呼吸器、
消毒液が猛烈な勢いで売れていた。
中国人が故郷の親戚や知人に贈ったり、
母国で転売していたのだ。
武漢から燎原(りょうげん)の火のごとく
感染が広がっていた頃の話である。
中国を支援するため、
日本からもマスクなどが送られた。
武漢の病院の地獄絵のような映像は、
世界の多くの国民の目にはまだ他人事に見えた。
◇ そのころ北京政府は
海外の中国人や、国営企業、
民営企業に指令して、
ありったけのマスクを買い占めさせ、
防護服、医療用ゴーグルなどを
世界中から買い集めていた。
気がつくと、
中国における感染の勢いは下火となり、
欧米諸国や日本で、
医療物資やマスクの在庫が
底をつきはじめていた。
そして、新型コロナの流行は
イタリアをはじめヨーロッパに飛び火し、
やがてアメリカ本土にも上陸して猛威をふるった。
つづく
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