◇ パンデミック宣言が遅い、
中国寄りだ、などと、
このところ評判の芳しくないWHOが、
どういうわけか、
新型コロナウイルスの起源を特定する、
という動きに出た。
4月30日に開かれた各国の専門家による
緊急委員会の勧告に従うとのこと。
◇ テドロス・アダノム事務局長は
1日の記者会見で、
委員会の勧告を受け入れて
国連食糧農業機関(FAO)などの
他の国際機関と協力し、
「動物由来のウイルスの起源を
特定するよう努める」と述べた。
◇ WHOは今まで
動物からヒトに感染した
「自然起源説」をとり、
野生動物が食肉として売られていた
武漢の海鮮市場で発生したのではないか
という見方を出してきていた。
「動物由来」というのが「自然起源」と
同じ意味なのかどうかは、よくわからないが、
どうやらこの動き、トランプ大統領の
最近の言説と無関係ではないようだ。
◇ 4月30日の記者会見で
トランプ大統領は、
「新型コロナは武漢にある
ウイルス研究所が発祥である証拠を見た」
「WHOは中国の広報代理人のようだった」
などと発言した。
5月3日にはFOXニュースに出演し、
何が起きたかを示す強力な報告書を
準備していると明らかにした。
◇ かなり前から、
武漢の海鮮市場ではなく
ウイルス研究所が発生源だ
という見方は確かにあった。
エボラウイルスなど、
もっとも危険な病原体を扱う
バイオセーフティーレベル4の研究施設が、
武漢市内にあるのは間違いない。
毒性学、生物・化学兵器の世界的権威、
米コロラド州立大学名誉教授の杜祖健氏は、
「間接的な証拠から、武漢の研究室から
漏れたというのが最も適当な説明だろう」
と語り、以下のように続けた。
「武漢では、焼却処分されるはずの実験動物を
裏で転売して漏れたということもあり得る。
SARSのウイルスに手を加えたのではないか、
という論文も出た。
新型コロナウイルスはSARSと近いウイルスだが、
分子に4つの違いがあり、
自然に起きる違いではないと報告されており、
人工的に改良された可能性がある」
◇ 新型コロナウイルスについては
陰謀論めいた言説が飛び交っているが、
少なくとも新型コロナウイルスが
生物兵器の一種であるとは常識的に考えにくい。
たとえ研究段階でウイルスの遺伝子か
何かに人間の手が加えられたとしてもである。
しかし、杜氏が言うように、
実験動物を何者かが食用に
転売しようとしたとか、
研究員が研究用の野生動物から感染し
外部へ広げたという可能性は否定できない。
つづく
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