◇ 7都府県に緊急事態宣言が出される中、
ある法案が衆院本会議で審議入りする。
年金を受け取り始める年齢を
75歳まで繰り下げ可能にするための
年金改革関連法案が、
14日の衆院本会議で審議入りした。
所管するのは、新型コロナウイルスの
対応に追われているはずの厚生労働省。
緊急事態の状況下で
なぜ先送りしないのか、
今後議論を呼びそうだ。
◇ 現在、公的年金の支給開始は
65歳を基本にして、
60歳から70歳まで選ぶことができる。
その上限を75歳まで引き上げよう
というのが、今回の法案だ。
高齢者の就業を促進するため、
75歳から年金を受け取り始めると、
毎月の年金額が増えるという仕組みに変更。
◇ 具体的には、受け取り開始年齢を
1カ月遅らせるごとに年間の受給額は
0.7% 増える。
75歳まで遅らせた場合、
65歳開始の人に比べて
毎月の年金額が 84% 増えるという。
また、働く高齢者に年金の一部を減らす
「在職老齢年金」も同時に見直す。
60~64歳の場合、
現行では賃金と年金の合計額が
月28万円を超えると年金が減るが、
この基準を月47万円に引き上げる。
働くほど年金が減る仕組みが
高齢期の就業意欲を阻害しているとの
指摘があるためだ。
◇ では、従来通り65歳から年金を
受け取った場合と、
今回の法案となる75歳から年金を
受け取った場合、
どちらが多く受給できるのか?
計算すると、
その2つの年齢で受け取った年金が
同じ額になるのは 86歳
つまり、86歳以上生きれば、
75歳から受給した人がお得になり、
それより前に亡くなってしまうと、
65歳からの支給を選択した人が
得をすることになる。
参考までに、日本人の平均寿命は、
男性が81歳 で 女性は87歳
各人の選択が迫られることになる。
◇ 年金制度の改革法案の主な狙いは、
高齢者の就業を促進するため。
この法案が閣議決定されたのは先月3日。
厚生労働省の省内では、
法案の審議を先送りすることで、
国会対応に割く人員を新型コロナ対策に
振り向けるべきだとの意見もあった。
緊急事態宣言が出される中での審議入りに、
ネット上では様々な声が上がっている。
ただ、受給年齢を75歳に
強制的に先延ばしされると
勘違いをしている人もいるが、
受け取る年齢が75歳まで
選べることになるというのが、
今回の法改正だ。
選択筋が従来より増えるという意味では、
良い改正のように見えるが、
はたしてそうだろうか?
この時期にあえて
やらなければならない理由は、
切羽詰まっているという証であり、
受給者の先延ばしにしか、
トンビには見えない。
もうしばらくすると、
その全容が見えてくるであろう。
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