◇「ノルマ」というのは、
ロシア語を起源とした言葉である。
社会主義時代に国家が個人や団体に
強制的に割り当てた「労働の目標量」
のことを指している。
「ノルマ」という言葉を
日本に伝えたのは、
シベリア強制労働からの帰還者であった。
そしてノルマは単なる数字目標ではなく、
それだけの「強制力」を内包している。
驚くべきことに、
郵便局やスルガ銀行の
例を見てわかるように、
この前近代的な「ノルマ」が
現代にも生き残り、引き継がれ、
現存していた。
◇ ではなぜ、大企業の中でも、
営業社員を多く抱える企業で、
「ノルマ」と「不祥事」の問題が
併存してしまうのだろうか。
考えられる原因としては、
これら企業のビジネスモデルが、
時代に追いつかず、
時代にマッチせず、
多くの営業社員を余剰に抱えた結果の
トラブルであることがうかがえる。
◇ そもそも営業の成果が
上がらない根本的な原因は、
個々の営業資質の問題ではなく、
「経営戦略」にあるとトンビは考えている。
営業成績が上がっていない
企業の多くが、
古いビジネスモデルのままであるか、
無理のあるビジネスモデルを採用している。
要するに、それらの会社の
経営戦略自体が破綻しているのだ。
郵便局のビジネスモデルもまた、
時代に取り残されしものの典型例である。
◇ 日本郵政グループは、
民営化こそされたものの、
自由化されたわけではない。
まるで手足の一部を
縛られたような状態なのである。
そんな中、日本政府は、
震災の復興資金として
郵便局の株式売却を見込み、
4兆円の予算を組み込んだ。
つまり、2022年までに
株式を売却して、
4兆円を作らなければならない。
足かせをはめられたまま、
過大な利益目標を掲げられた
日本郵政グループは、
いまだ利益を上げる柱の事業を
見つけられずにいる。
このような状況の中、
かんぽ生命の生命保険販売だけが、
グループの売上げ増加における
頼みの綱にならざるを得なくなった。
かくして生じたのが、
日本中で社会問題となった、
かんぽ生命の不適切販売事件だ。
つづく
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