◇ 「万葉集」に、
桜と雨を詠んだ歌がある。
春雨に 争いかねて 我が宿の
桜の花は 咲きそめにけり
「つぼみを開かせようとして
降ってくる春雨に逆らいきれずに、
我が家の庭の桜の花が咲き始めた」
◇ こうして花をさかした春雨だが、
いったん花が咲いてしまうと、
今度は、春雨が花を散らしてしまうかと
心配になる。
人間はわがままなもの。
春雨は いたくな降りそ 桜花
いまだ見なくに 散らまく惜しも
◇ ここでは、
「春雨よ、はげしく降らないでください。
私は桜の花をまだ見ていないのに、
散ってしまったら惜しいことです。」
と詠まれている。
こうして日本人は、はるか昔から、
この春の雨をいとおしんできた。
天地(あめつち)に きざし来たれる
ものありて 君が春野に 立たす日近し
◇ 平成24年2月に
冠動脈バイパス手術をされた
上皇陛下の回復を願って、
上皇后さまが詠まれた御歌。
上皇后さまは、
手術の執刀を担当した天野医師の
「春になればきっとご回復なさいます」
という言葉を信じて、
春の訪れをお待ちになった。
今年もいよいよ桜が咲く季節なった。
一度きっりのこの人生で、
あと何回この桜の花をみることができるのか。
思ったより多くはない。
<今日の名言>
大王が海賊に、
「海を荒らすのはどういうつもりか」
と問うたとき、
海賊は少しも臆することなく、
「陛下が全世界を荒らすのと同じです。
ただ、わたしは小さい舟でするので
盗賊とよばれ、
陛下は大艦隊でなさるので、
皇帝とよばれているだけです」
と答えた。
アウグスティヌス「神の国」
*たとえ大義名分があっても
やっていることは同じ。
何事も本質を見極めることが大事。
今日一日の人生を大切に!