◇ こうした状況なので、
これからは中国の人材引き抜きと
知的財産権の侵害に対しては、
FBIを中心とした情報機関が
対応するとしている。
FBIは、この状況をアメリカの国益を
損なうばかりではなく、
国家安全保障上の脅威として理解し、
全力でブロックしなければならないとしている。
報告書にはこれを実施するための
具体的な提案が列挙してある。
◇ この報告書を読むと、
FBIの危機感がとてもよく分かる。
中国の、アメリカを凌駕しつつ
ある最先端分野のテクノロジーの発展を
いま抑止しないと、
将来アメリカのテクノロジーは
中国に圧倒され、
それが国家の安全保障上の
危機となるという認識だ。
◇ 中国による研究者と専門家の
帰国ラッシュと引き抜きは、
もう何十年も前から
行われていることであり、
いまの時点でFBIがこれを
国家の安全保障上の問題だとしても、
あまりに遅きに失しており、
いまさらどうにもならない。
まだ中国の科学技術が
発展の初期段階にあれば、
このような人材の引き抜きに対する警告も
意味があっただろう。
だが、いまの中国は、
アメリカを凌駕する独自の科学技術を
開発することのできる強固な基盤を
確立してしまっている。
この点では、
5Gと同じことになっている。
いまから対策をしても
どうにもならないのではないか?
ましてや今回のFBIの報告書が
対象としているのは、
国立研究所や大学の研究機関に
在籍していた研究員の中国引き抜きである。
「グーグル」や「アップル」などの
民間の先端的IT企業での引き抜きは
対象にはなっていない。
むしろ民間からの中国帰国組がもたらす
技術のほうが大きいのではないだろうか?
この点を確認するために、
中国の人材流出と帰国ラッシュの流れを
歴史的に確認しておくべきだろう。
つづく
今日一日の人生を大切に!