◇ 仏紙フィガロは、
中東レバノンに逃亡した
日産自動車前会長の
カルロス・ゴーン被告が、
仏自動車大手ルノーの会長職などを
辞任した際の退職手当
約25万ユーロ(約3000万円)の
支払いを求め、
昨年12月に仏労働裁判所に
申し立てを行ったと、
読売新聞が報じている。
◇ フィガロの取材に対しゴーン被告は、
ルノーでの私の辞任は茶番だ。
退職に伴う全ての権利を要求する。
と述べた。
ルノーに対しては、
年額約77万ユーロ(約9400万円)の年金や
受け取っていない業績報酬の支払いも
求めるという。
◇ また時事通信は、
フランス最大の労働組合、
労働総同盟(CGT)の
マルチネス書記長の言葉として、
仏自動車大手ルノーに対して
退職手当を要求している
カルロス・ゴーン被告を
「卑しい」と非難したと伝えている。
マルチネス氏は、
ゴーン被告はルノーで数万人を解雇した。
雇用と業界をめちゃくちゃにしておきながら、
ルノーをクビになった従業員のように
労働裁判所へ行こうとしている。
と指摘。
「彼は人を見下す金持ちだ」
と糾弾したという。
もはやゴーン被告の評判は
「崩れ落ちてしまった」
といっても過言ではないだろう。
◇ この退職金に関する報道を
見る限りでは、
搾り取れるところから金を
せびろうとする、
ただの金の亡者にしか見えない。
会見では一方的に
言いたいことだけを言い放ち、
挙句の果てには金の要求。
辣腕を振るった
かつてのカルロス・ゴーンは、
一体どこへ行ってしまったのだろうか?
◇ 高額の保釈金を
いとも簡単に放棄し、
多くのメディアを集めて
会見を開いたことで、
自身の富裕ぶりと
影響力の大きさを見せつけた、
日産自動車前会長のカルロル・ゴーン被告。
ただ、レバノンは深刻な金融危機に
陥っているため、
ゴーン被告は一週間当たり
数百ドル前後しか現金を手に入れられない
可能性があるとロイターは伝えている。
◇ レバノンの金融経済は
過去数十年の中でも最悪な状況。
外貨不足に伴って自国通貨
レバノンポンドは急落し、
銀行は預金引き出しを厳しく制限している。
ゴーン被告も地元テレビの
インタビューで、
レバノンの銀行に海外から
送金するつもりかと聞かれると、
たとえレバノンに送金しても、
知っての通り使うことはできない。
私は全レバノン国民と同じく
この国の銀行に預金があり、
週250ドルないし300ドルしか
引き出せない。
私が置かれた状況は全国民と同様だ。
と認めている。
◇ レバノンでは金融危機のために
企業が解雇や減給、労働時間短縮に
動いており、
経済情勢が悪化すれば、
貧困率が50%に達しても
おかしくないと世界銀行が警告。
こうした危機の一因は、
根深い汚職や政府の放漫財政にあるといい、
レバノンの公的債務は
世界最悪クラスの水準にある。
◇ こうした中、カルロス・ゴーン被告は、
ロイターもインタビューに応じ、
被告が主張する日産による陰謀について、
逮捕後間もなくフランス大使から
耳にしたと明かしたという。
ゴーン被告は、
正直に言って逮捕された時は
ショックだった。
最初に依頼したことは日産に連絡して、
弁護士を送ってほしいということだった。
と振り返り、
翌日、フランス大使が訪れ
『日産が君に反旗を翻している』と
打ち明けてくれた。
それで私はすべてが陰謀だと気づいた。
と語った。
◇ 自らの逮捕、解任劇について息巻いて
見せた記者会見から1ヶ月余り、
ゴーン被告について同情論が
薄れてきた感は否めない。
ルノーに対して退職手当を要求したことで、
フランスでも疑問の声がネット上で
挙がり始めている。
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