◇ 学生時代に優秀だった人が、
社会人になってストレスに悩み、
心身ともに疲弊し潰れてしまう
というケースを見かける。
一方、学生時代には目立った成績ではない、
クラスの平均かそれ以下だった人が、
社会人になり結果をしっかり出し、
人望も厚くどんどん昇進していくこともある。
この違いはどこにあるのだろうか。
産業医の話を聞くなかで見えてきたのは、
子ども(学生)時代の過ごし方が
大きく影響しているということであった。
◇ どのような子ども(学生)時代を過ごし、
どのようなスキルを磨けば
高いストレス耐性が身に付くのか。
比較的ストレスに強い人に
子ども時代について聞いてみると、
多くの人が、「認知能力」だけでなく、
「非認知能力」を継続的に育まれてきた
という共通点があるという。
◇「認知能力」とは、
テストの点数や偏差値、
IQなど、数字で測定可能で、
従来の学校教育等で
重点が置かれてきたもの。
ハードスキルとも言われ、
言われたことをやる、過去問、塾や予備校、
丸暗記などの時間効率がよい勉強によって
得られやすい特徴がある。
◇ 一方、「非認知能力」は
ソフトスキルとも言われている。
数字だけでは測れない、
総合的人間力を意味する。
勤勉性、外向性、協調性、
精神的安定性などが代表的だが、
ほかに、
まじめさ、好奇心、社交性、
利他性、自己肯定感、責任感、想像力、
やり抜く力、自主性、積極性、共感力
コミュニケーション力、柔軟性、忍耐力など、
さまざまなものがある。
◇ なぜ“総合的”と呼ぶかというと、
例えば、回復力(レジリエンシー)に
優れる人がいたとして、
その人は回復力に優れるという1点だけで、
メンタルヘルス不調になりにくいのではない。
そのような人は多くの場合、
職場で日頃から上手に
コミュニケーションを行っていたり、
わからないことを人に聞く素直さや謙虚さ、
また、周囲を巻き込む行動力、
そして自身の試行錯誤ややり抜く力など、
さまざまな要素を持っていたりしている。
そのため、
そもそも回復力をそこまで要さない、
要したとしても周囲がサポートしやすい人
ということになる。
「非認知能力」とは、
このように複合的なものなのだ。
つづく
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