◇ より効果的な治療を受けられることは、
いいことではあるが、
ここで問題になるのが 「お金」
保険診療であれば3割程度の負担で
受けられるが、
先進医療は保険診療ではないため
基本は全額を自費で払うことになる。
さらに通常は、保険診療と、
保険診療でない治療(自由診療)を
組み合わせて行うこと(混合診療)は
禁止されており、
厚生労働省によって
先進医療に指定されているものは、
例外として保険診療と組み合わせていいと
いうことになっている。
とはいえ、
先進医療部分は全額払わねばならず、
ものによっては 300万円以上
かかるものもある。
◇ では、実際にどんな先進医療が
行われているのであろうか。
ここでは、具体的な先進医療の中で、
がん治療のものをピックアップし、
年間100件以上の治療を行っているものを
多い順に5つ挙げてみた。
件数は1年あたり、
費用は1件あたりにかかる
先進医療のみの金額となる。
治療を受ける場合は、
この他に保険診療の部分の
お金がかかるため、
これより少し高くなる。
入院期間は、その先進医療を受けるために
かかった入院日数の平均となる。
1. 陽子線治療 2319件
276万5086円 入院期間12.6日
2. 重粒子線治療 1558件
314万9172円 入院期間7.0日
3. MRI撮影および超音波検査融合画像に
基づく前立腺針生検法 207件
11万223円 入院期間2.1日
4. 腹腔鏡下広汎子宮全摘術 185件
71万9811円 入院期間14.8日
5. 抗悪性腫瘍剤治療における
薬剤耐性遺伝子検査 147件
3万5382円 入院期間46.3日
(中央社会保険医療協議会
「平成29年6月30日時点で実施されていた
先進医療の実績報告について」より抜粋)
◇ 少し内容を説明する。
一番多い陽子線治療は、
陽子線というものを使って、
体を切らずに中のがんを殺す治療のこと。
放射線治療では、普通の放射線とは
種類の違う放射線を使う。
「2.重粒子線治療」も陽子線と似た、
特別な放射線である重粒子線による
治療のことになる。
「3」は前立腺がんが疑われた人に、
怪しい部分をきちんと針を刺して
生検をするための方法のこと。
「4」は、これまでの開腹手術ではなく、
腹腔鏡手術という、お腹に小さい傷を
5カ所ほどつけて行う手術方法のこと。
「5」の「薬剤耐性遺伝子検査」とは、
がん患者さんが抗がん剤の治療をする前に、
「その抗がん剤はちゃんと効果があるか?」を
遺伝子検査で行うものだ。
これにより、前もって効かないと
分かっている患者さんが
抗がん剤を使うことを避けることができる。
効かないのに、副作用だけ起こるほど
つらいことはない。
つづく
今日一日の人生を大切に!