もう一人のお客様 vol.576

 

◇ A子さんが母親の七回忌で、

    飛行機で帰省した時のこと。

 

遺影を風呂敷に入れて、

膝に抱えて離陸の時間を待っていた。

 

◇ 客室乗務員より、

 

   「こちらのお手荷物を上の棚に

     お入れしてもよろしいでしょうか」

 

    と声をかけられた。

 

A子さんは

「棚には入れたくありません」と伝えた。

 

◇ 続いて

 

「恐れいりますが、

   離陸の際は足元に収納していただきますか」

 

と言われた。

 

A子さんは

 

「遺影なので、

   足元にも置きたくなくて」と答えた。

 

◇ その言葉を聴き、事情を察したのか、

     客室乗務員の表情が一変した。

 

「大変失礼なお願いをして

   申し訳ございません」と頭を下げた。

 

さらに

 

「この度はお悔やみ申し上げます。

   もしよろしければ、

  隣のお席が空いておりますので、

「お客様」にも座席に

  座っていただけないでしょうか」

 

と遺影を「お客様」と呼んで、

A子さんの隣に座らせてくれた。

 

◇ 一連の客室乗務員の対応に

    感動したA子さん。

 

一時間半のフライトが、

亡き母との二人旅をしているような気持ちで、

温かさに包まれたものになった。

 

 

今日一日の人生を大切に!

トンビ博士

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