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麻酔を発見した男達の末路 ⑤ vol.570

 

◇ 麻酔発見のニュースは

    瞬く間に医学界を駆け巡った。

 

イギリスの著名な外科医が

エーテルを使った足の手術を行い、

アメリカ国外にも広がりを見せた。

 

◇ ところが、医者たちは麻酔を

    思うように使うことができなかった。

 

モートンはエーテルの使用量や濃度など、

麻酔の具体的な方法を一切公開せず、

自分の歯科診療所だけで使おうとした。

 

モートンの目標は金儲けであり、

医学の進歩や患者を手術の激痛から

解放することなどは二の次だったのである。

 

◇ 麻酔から得られる利益を独占するために、

    モートンは公開実技からわずか11日後の

     1027日に麻酔の特許を申請し、

      翌月12日には認められていた。

 

これによって、

公開実技を執刀したウォレンですら、

麻酔を利用することができなくなってしまった。

 

◇ ウォレンはモートンに麻酔のやり方を

     公開するように懇願したが、

     モートンは聞く耳を持たなかった。

 

引き下がるしかないと、

ウォレンは麻酔の使用を

見合わせる決断を下したのである。

 

◇ 一方、モートンは、

     麻酔がもたらすであろう

     膨大な富に心を躍らせていた。

 

麻酔は人類が待ち望んでいた大発見であり、

特許料を支払ってでも使おうとする人々が

続出するはずだ。

 

特許権の有効期間は14年で、

その間に得られる特許権の使用料は

365千ドル(現在価値で約7百万ドル)

に上ると計算した。

 

モートンは麻酔の吸引器具も

合わせて販売しようとした。

 

ウェルズから盗み取った麻酔で、

モートンは大金持ちに

なろうとしていたのである。

 

麻酔の特許で大儲けを企んだモートン。

 

ところが、

その思惑は完全に外れてしまう――。

                                        つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

トンビ博士

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