◇ この“共創する”という考えを
形にした施設をソフトバンクは
東京・台場に用意した。
5月にオープンした「5G×IoT Studio」の
お台場ラボは、その名の通り、
5GとIoTを掛け合わせ、
新しいサービスを生むための実験拠点。
英アーム、米エヌビディア、米インテルの
高性能サーバーを導入し、
AI(人工知能)解析やストリーム処理、
演算処理など、得意分野に応じて
使い分けられるようにした。
無線だけでなく、インフラを含めて
すべてを提供しているのが特徴で、
企業が持っているアイデアを5Gに乗せて、
トライアンドエラーを繰り返せる。
すでに100社以上がこのラボを訪れ、
新しいビジネスの萌芽(ほうが)を探っている。
こうしたラボはNTTドコモや
KDDIも開設している。
目的は同じだ。
5Gを使えば何でもできてしまう。
そこが面白さでもあり、キャリアとしての課題。
キャリアは単一のインフラを作るのは
ものすごくうまいが、
本当にイノベーティブなものというのは、
キャリアがいくら考えても出てこない。
イノベーションはキャリアの中に
入れてしまうと起きない。
キャリアがいい、悪いと判断している限り、
イノベーションは起きないという。
もちろん、全く新しいサービスを作り出し、
イノベーションを起こすのがゴールだ。
5Gというインフラを、
まずは使ってもらう場として、
こうしたラボが重要になるというわけだ。
◇ 一方、5Gには弱点がある。
周波数が高いゆえに直進性も高く、
ビルなどの障害物に遮られやすいのだ。
そこで、ソフトバンクは、
LTEも5Gもそれぞれ増強することで、
より多くの企業のニーズに応えられる
プラットフォームになることを目指している。
5Gの時代には、スマホ側の課題も
クローズアップされる。
毎秒10GBもの大容量データを
処理できる端末がすぐに出てくるとも思えない。
そこで採用するのが、
エッジコンピューティングである。
例えば、基地局の裏に高性能なマシンを並べ、
そこでデータを処理する。
データを加工し最適化すれば、
スマホに負荷をかけずに済む。
データをクラウドに
上げればいいと思われがちだが、
そもそもクラウドから
端末に届けるまで時間がかかる。
あくまでもエッジで処理
(端末の近くのネットワークで分散処理)
することに意味があるのだ。
◇ コンシューマー(消費者)一辺倒ではなく、
さまざまな業種に顧客が広がる。
きゃりあは5Gというインフラが
出た瞬間に具体的な商材を出し、
スタートダッシュを決めなければならない。
◇ ソフトバンクは近年、
投資会社としての側面を強めている。
次なるフェーズを見据えて態勢も大きく変え、
世界有数のイノベーティブな会社を
自らの投資のポートフォリオに入れている。
◇ 映像一つをとってもサービスは
いくらでも作り込める。
新たなインフラに、
インパクトのあるサービスを
どのように盛り込んでいくかは、
まさにキャリアの腕の見せどころだ。
完
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