◇ アメリカと中国がこれほどまで
問題をこじらせたのは、
中国共産党が自国企業と官民一体となって
全世界の知的財産・意匠の窃盗を繰り返し、
その窃盗した技術でアメリカ市場に
乗り込んできたからである。
◇ こうした「窃盗」は
軍事の部分にも及んでおり、
アメリカの兵器産業の機密情報や
軍人の個人情報や軍事作戦まで
情報窃盗して、
明確な軍事的脅威になっている。
◇ さらに中国は「一帯一路」戦略をも
同時に押し進め、
資源を持った途上国や、
軍事拠点になり得る途上国に
莫大な債務を貸し付けて、
経済的植民地を手に入れながら、
膨張主義に邁進している。
◇ アメリカの歴代大統領は、
こうした中国の傍若無人ぶりを
見て見ぬ振りをして
やり過ごしてきたのだが、
トランプ大統領になってから、
アメリカは明確に中国を
危険視するようになり、
いよいよ貿易の分野から
戦いの火蓋が切られたのである。
◇ アメリカが本気なのは、
ファーウェイ問題ひとつを
取っても分かる。
今後、世の中は「5G」によって
大きく変わっていくのだが、
アメリカは信用できない中国ファーウェイを
基幹システムに設置して欲しくないと考えて、
全世界からファーウェイを
締め出そうとしている。
◇ それだけでなく、アメリカ国内で
ファーウェイの端末を
使うことさえも禁止した。
ファーウェイは、
「そんなことをしても無駄だ。
アメリカにも影響が出る」
とアメリカを威嚇したが、
その好戦的な姿勢を受けると、
トランプ大統領はすぐさま、
ファーウェイに対してアメリカ製品の
輸出を事実上禁じる規制を発令した。
◇ ファーウェイが世界各国に
置いてある支店や子会社を通して
アメリカの製品を販売するのも
禁止される。
これだけでもファーウェイにとっては
致命的な問題なのだが、
グーグルがスマートフォンの
OSアンドロイドの最新版や
グーグルのサービスをファーウェイに
提供するのを停止するという発表が行われた。
これによって、ファーウェイは
アメリカの最新ハードとソフトウェアの
両面から断絶させられることになる。
これだけ、叩きのめされて
ファーウェイが無事でいられるはずがない。
ファーウェイは存続できるかどうかの
瀬戸際にまで追い込まれたと見ていい。
◇ そんな中で行われたG20で、
米トランプ大統領はファーウェイに対して、
事実上の禁輸措置を解除する考えを
明らかにした。
水面下でどのようなやり取りが
行われたのかは定かではないが、
習近平大統領もかなり譲歩したのではないか、
と思われる。
◇ 今後、二国間貿易戦争が
どのように展開するかはわからないが、
アメリカが妥協しない場合は、
中国もまた否応なしに対抗せざる
を得ない状況になるわけで、
米中の溝はより深まり、
「新冷戦」が世界を変えていくことになる。
つづく
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