◇まず、中国の国力を最初に示しておこう。
経済規模を比較するのに
一般的なGDP(国内総生産)の規模でみると、
米国(19兆3906億$)についで、
12兆146億$で 中国は 世界第2位。
3位は4兆8271億ドルの日本だが、
中国の経済規模はその 約2.5倍 にもなる。
ここまで見れば、
世界2強の一角を占める中国と、
大きく水をあけられた日本
という構図になるが、現実は少々異なる。
◇ 中国の人口は約13億9000万人で、
約1億2500万人の日本の 11倍 にもなる。
人口が11倍で国力が2.5倍ということは、
個人レベルの所得はとても少ない。
GDPを人口で割った
一人当たりGDPで見れば、
日本が 3万8439ドル
対する中国は 8643ドル
と5分の1程度でしかない。
◇ 一体、中国の労働者のうち、
日本人並みの給与をもらっている
人の割合はどのくらいなのか。
経産省の推計によると、
2015年時点で先進国並み
(年収3万5000ドル以上)
の所得を得ている人は、
全体の 6.6% となる。
年収1万5000ドルと日本人の
4割程度の水準にまで広げても、
その割合は24.7%にしかならない。
国全体を眺めて、
人々の生活を語るなら、
まずはこの当たり前の数値を
念頭に置いて考えてほしい。
我々が日常的に目にしている
爆買い中国人観光客は
ほんの上位数パーセントのリッチ層であり、
欧米のトップ大学に進学して
初任給1300万円などで雇われている人は
さらにそのまたほんの一握りでしかない。
それでも14億人もの人がいる中国では、
こうしたハイパー人材だけでも
数十万人となってしまう。
だからマスコミには彼らのエクセレントな
生活・キャリアの情報が多々流れる。
それで、我々は、ほんの一握りの
裕福中国人が向こうの標準だと勘違いし、
彼らと比較して、
「今の日本人は」と焦りを感じる。
◇ 一方で、先ほどの経産省推計によれば、
中国では年収1万5000ドル(165万円)
未満の人たちが就労者の75.3%であり、
うち、5000ドル未満(55万円)の
絶対貧困層が 32.6% もいる。
この数字にはトンビも大変驚く。
だからこそ、来日して最低賃金で
技能実習をしたり、
流通・サービス系の店舗で
バイトをしている中国人留学生が
大量にいるのだ。
なるほど。
中国経済の構図が少しずつ見えてきた。
つづく
今日一日の人生を大切に!