◇ 政府の「人生100年時代構想会議」
などが70歳までの継続雇用義務化を
議論し始めた。
「70歳まで働ける社会」の実現は
目の前まで来ている。
しかし、公的年金の受給開始年齢を
70歳に引き上げる議論も始まった。
もし、法律を改正し、
経過措置を考慮しつつ
施行すれば10年以上先に
実施されることになるだろう。
引き上げが急務であれば遅すぎる。
これはどういうことなのだろうか。
決して政府がのんびりしてわけではない。
実は、日本で今起きているのは
「年金を受け取り始める年齢」
の引き上げ議論を
「働ける年齢」の引き上げ議論が
初めて逆転し、上回りつつある
ということだと考えられる。
◇ これまでの
「年金が払えないから
支給開始年齢を上げる」
という発想ではない。
「健康で働ける人々がより長く
働くことのできる社会の実現」
を目指す中で、
それが年金受給開始年齢を
上回ろうとしている。
そして、これはおそらく世界的に見ても
先駆的な取り組みであり、
超高齢化に対して社会と個人が
取り得る最も有効な選択肢に
なると考えられる。
◇ 100歳人生時代において
老後の豊かさを確保するすべは
「退職金・企業年金による収入」
「自助努力による資産形成」
(個人型確定拠出年金=iDeCo=などの活用)
「高齢期の賃金収入」 の3本柱だ。
特に65歳以降も働けることは、
老後資金のための貯蓄期間を増やし、
取り崩し年数を短くするという
二重の効果が生まれる。
仮に22歳就職、65歳引退、
100歳没という年表を描けば、
現役時代 43年
リタイア期間 35年 となるが、
引退年齢を70歳に置くと
現役時代 48年
リタイア期間 30年 となる。
◇ 簡単にいえば、
現役時代が10%くらい増えて、
毎年の老後資金積み立てのノルマは軽くなる。
一方、リタイア期間が10%くらい短くなり、
必要な老後資金も10%減る理屈になる。
二重の意味で老後の準備に
余裕が生まれることになる。
しかも、公的年金の受給を遅らせれば、
年金を増額させることもできるし、
厚生年金保険料を納めて働き続ければ
年金額もアップする好循環が生まれる。
世の中では今でも、
「70歳まで働かされるのか……」
という悲鳴のような論調が強いのだが、
若い人ほど早く発想を切り替えたほうがいい。
むしろ、長く働くほど老後は
ぐっと楽しいものとなる。
皆さんは雇用の年齢が
年金受給開始の年齢を追い抜く時代の訪れを
当事者として見届けてほしいと思う。
完
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