◇ では、彼は何を目指して
ロシアに行ったのだろうか?
一つは、もちろん「経済支援」を
受けるためだろう。
実際、北が存続しているのは、
中国とロシアが制裁違反の支援を
つづけているからだ。
もう一つは、
プーチン大統領とつながることで、
アメリカをけん制すること。
米朝関係がこのままだと、
北はじり貧になってしまう。
しかし、核実験、ミサイル実験を再開すると、
アメリカが攻めてくる可能性がある。
その時、
「俺のバックにはプーチンがいるぞ!」
「俺のうしろには習近平がいるぞ!」
というのは、一定の抑止力になる。
トランプ大統領も、中ロ北をまとめて
敵にまわしたくない。
◇ ロシアは、中国、韓国と共に
「段階的非核化」を支持している。
北が「完全非核化」すれば、
アメリカが北朝鮮を攻めてくると
頑なに信じているからだ。
ではどうしてそこまで頑になっているのか?
◇ プーチン大統領のトラウマは
「NATO拡大」に他ならない。
1990年10月、ソ連は、
西ドイツが東ドイツを
編入することを認めた。
西ドイツは資本主義陣営であり、
東ドイツはソ連側の共産主義陣営だった。
ソ連は条件つきで、
西が東を吸収することを許可した。
条件とは、
「NATOを東に拡大しないこと」
アメリカはそれを確約した。
◇ ところが、1999年、2004年、
NATOは大拡大。
いまでは、東欧のほとんどの国、
そして、旧ソ連のバルト三国まで
NATOに加盟してしまった。
結果、ロシアは29か国からなる
「反ロシア軍事ブロック」と
対峙することになった。
これがトラウマとなり、
プーチンはアメリカのいうことを
まったく信用していない。
◇ また、リビアのカダフィの例もある。
カダフィは03年、核兵器開発を停止し、
欧米と和解した。
しかし8年後の2011年、
NATO軍の空爆を受け、
欧米が支援する反体制派に
捕まって殺された。
というわけで、
できるだけ時間稼ぎをする意味でも
プーチンは「段階的非核化支持」なのだ。
つまりプーチンは、
「北の核保有を事実上認めている」
ということだろう。 つづく
今日一日の人生を大切に!