◇ 2018年9月、世界中の人々を
驚かせたニュースがあった。
飲料メーカー世界トップである
コカ・コーラが、
医療用マリファナの成分が入った
飲料への参入を検討するというのだ。
医療用の成分なので、
飲んだら多幸感でいっぱいになる飲料を
目指しているわけではない。
しかし、アメリカの
マリファナ・ウォッチャーが
裏側でひそかに言っていたのは、
次のようなものだった。
「最初に医療用マリファナで
足がかりを持ち、
マリファナ飲料を研究・開発し、
最終的には多幸感が味わえる
娯楽用マリファナの成分が入った飲料を
出すのが目的ではないのか?」
それが噂で終わるのか、
それとも本当の話だったのか分かるのは
十数年後になるのかもしれないが、
そういう意図がコカ・コーラに
あったとしても不思議ではない。
そうなれば、コカ・コーラの
市場価値もさらに上がるだろう。
◇ 実は、大手飲料メーカーが
マリファナに目を向けたのは
コカ・コーラが最初ではない。
はじめにマリファナを取り込む動きを
大胆に見せたのは、
ビール会社
コンステレーション・ブランズである。
この企業は日本では
ほとんど名前を聞かないが、
アメリカでは「コロナ」や「モデロ」
などを製造するビール会社として、
バドワイザーと同じくらい人気がある。
他にもギネスビールがマリファナ飲料に
参入するのではないかと言われている。
こうした流れが本格化したら、
ビール会社も炭酸飲料会社も
マリファナ成分入りのドリンクを出すのは
当たり前の流れになっていくだろう。
◇ この動きを見て、
いよいよ重い腰を上げた産業がある。
タバコ産業 だ。
2018年12月、フィリップモリスを擁する
世界最強のタバコ企業
「アルトリア・グループ」は、
マリファナ企業クロノス・グループの
株式を45%を取得して
買収することを発表している。
タバコ企業アルトリア・グループは
紙タバコから電子タバコの移行が
思ったほどうまくいかず、
もたもたしているスキに
新興勢力であるJUUL(ジュール)に
電子タバコの利益をかっさらわれる
という醜態を晒している。
◇ こうした追い詰められた中で
アルトリアはマリファナに目を向けている。
いよいよ「タバコ」は
「マリファナ」と出会ったのだ。
今後、タバコは先進国で次第に吸われなくなる。
しかし、人類は嗜好品を簡単に捨てたりしない。
奇妙なことに先進国では
タバコを拒絶しながら、
かつては危険なドラッグだと
拒絶していたマリファナを
受け入れるようになっている。
アメリカではタバコとマリファナの
ポジションが入れ替わろうとしているのだ。
つづく
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