◇いま、アメリカの名門大学に
留学してPhDを取得し、
PhD : Doctor of Philosophy
博士水準の学位
シリコンバレーの大手IT企業で
数年勤務した後、
ベンチャー企業に参加して
会社設立のノウハウを学び、
その後自分のベンチャーを
シリコンバレーで立ち上げるというのが
こうしたエリートの一般的なキャリアコースだ。
こうした人々が政府による
リクルートの対象となっている。
現在では「海亀」と呼ばれる人材群だ。
◇「海亀」はアメリカで
PhDを取得した後、
「グーグル」や「アップル」などの
最先端企業で働き、
その後帰国して
ベンチャーを設立している。
いま中国国内では、帰国組も含め、
500万人を越える修士号、博士号の取得者、
そして研究者がいるとされる。
この数はさらに増加している。
◇もちろん、
こうした人材が設立したベンチャーには、
中国の政府系ファンドも投資をしている。
特に5Gのテクノロジーに関しては、
政府の「科学技術部」、「工業情報化部」、
「国家発展改革委員会」が
「5G推進小グループ」を設置し、
「ファーウェイ」を始めとする
中国の5G関連企業の全面的な支援を始めた。
◇このように見ると、
知的財産権の侵害によって、
日米欧の企業が開発した
先端的なテクノロジーを盗むことが、
中国のテクノロジーの基盤であるとする、
日本で比較的に広く喧伝されている
イメージは、当たってはいないことが分かる。
中国の経済力を基盤とした旺盛な投資、
そして膨大な人材のプールが、
中国の先端的なテクノロジー開発を
支える基盤だ。
これが、イギリスやアメリカを始めとした
各国経済への影響力の拡大と合わせて、
中国の先端的テクノロジーの世界覇権を
目指す基礎になっている。
◇したがって、
米中貿易交渉で中国の知的財産権の
侵害さえ効果的に禁止できれば、
中国のテクノロジー開発の勢いは
止ると考えるのは早計だ。
現状を見るとそうはならない。
トランプ政権による中国への圧力と
ブロックにもかかわらず、
5Gや6G、量子コンピュータ、
量子暗号、AI、宇宙開発などの
最先端のテクノロジーの分野では、
中国の価格的にも安いテクノロジーと、
アメリカの同レベルだが高価な
テクノロジーとが競うことになる。
「ファーウェイ」の創業者の任正非は、
「最先端で安いテクノロジーを提供すると、
アメリカからどんなに圧力があっても、
各国は「ファーウェイ」の機器を
導入せざるを得ないはずだ」
というような意味のことを言っているが、
まさにそうだろう。
◇ これから中国は厳しい時期に入る。
成長率は鈍化し、不動産をはじめとした
あらゆるバブルが崩壊する可能性もある。
そうした中国の状況を見て、
日本では中国崩壊論が活性化することだろう。
もはや中国には未来がないという
イメージが喧伝されるはずだ。
しかし、そのようなイメージに
拘泥していると、
中国が持つ潜在的な発展力の
現状を完全に見失うことになる。
中国の「海亀」たちの存在を
忘れないでほしい。
完
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