◇そのような状況になっている
背景のひとつは、中国の経済力である。
その代表的な例は、イギリスにある。
中国最大の金持ちのひとりに、
李嘉誠(レイ・カーセン)という人物がいる。
彼は香港最大の
企業集団・長江実業グループ
創設者兼会長である。
2013年度の世界長者番付によれば、
その資産は310億ドルとされ、
世界8位の富豪に位置付けられている。
長年、中国人としては
世界最大の資産家であった。
いまイギリスは、
EU離脱の余波で経済が低迷しつつある。
EU諸国との間で関税が
復活することを恐れ、
EUを主要な市場にしている国々の
企業の撤退が後を絶たない。
最近では現地工場を持つ
「HONDA」が撤退を決めた。
イギリス経済の見通しは
決して明るいものではない。
そのような状況のイギリスで、
李嘉誠の「長江実業」と
その傘下の多国籍企業、
「ハチソン・ワンポア(和記黄埔)」は
莫大な投資をし続けてきた。
中国では
「イギリスの半分は李嘉誠が掌握している」
とも報道されるくらいだ。
◇現在イギリスの35%以上の天然ガス、
30%以上の電力は李嘉誠の手中にあり、
イギリス経済は李嘉誠が
どう動くかによって決まっていくと言っても
過言ではないほど影響力が強い。
◇イギリスの通信大手で、
ヨーロッパ、 アメリカ、アジアで使える
格安SIMで有名な「Three UK」は、
「長和電信」のイギリス法人で
これも李嘉誠の会社だ。
「Three UK」は、
「ファーウェイ」との間で
20億ポンドの通信ネットワークの
契約を結んでいる。
さらに「ファーウェイ」に
200億人民元を投資して、
同社の5Gのシステム購買契約を済ませている。
こうした状況なので、イギリスが
トランプ政権の要請だったとしても、
「ファーウェイ」を排除することは難しかった。
◇ここまでではないにしても、
特にドイツなどのヨーロッパ諸国は
中国に対する経済的な依存度が高いので、
「ファーウェイ」の排除には
踏み切ることができない。
これから、カナダやオーストラリアなどの
他の「ファイブ・アイ」諸国でも、
同じような動きが拡大する可能性がある。
そうすると、中国がテクノロジー覇権の争いで
一歩先んじることにもなる。
つづく
今日一日の人生を大切に!