◇まず、大統領制と議院内閣制の
違いについて考えるてみることにする。
行政機関のリーダーである執政長官を
どのように選ぶのかを定めた執政制度は、
大別すると
「大統領制(Presidential system)」
と
「議院内閣制(Parliamentary system)」がある。
この違いは選挙制度にある。
大統領制 は
国民の直接選挙によって執政長官を選び、
議院内閣制 は、
議会で執政長官を選ぶ。
国民が直接選挙に参加するのは、
大統領制 では、大統領選挙と議会選挙
議院内閣制 では、議会選挙だけである。
米国は大統領制を取り、
日本と英国は議院内閣制を採用している。
◇ 世界には大統領と内閣首相が並存する
制度を採用している場合が数多くある。
しかし、どちらかが実質的には
執政長官ではないことが多い。
ドイツやイタリア、インドなどは
大統領が国家元首として対外代表権を持つ
儀礼的な役割を担う象徴的な存在であるため、
議院内閣制 とみなすことができる。
他方、韓国やアルゼンチン、
ペルーなどのように、
内閣首相は存在しても
大統領によって任命・解任され、
大統領のスタッフの一員のような場合には
大統領制とみなすことができる。
もっとも、国民による直接選挙で
選ばれる大統領と、
議会で選ばれる内閣首相が
実際に執政長官として権力を
分担している場合もある。
これを 半大統領制 という。
フランスがその典型となる。
ルーマニアやロシアも
半大統領制といわれる。
半大統領制 は、
大統領制や議院内閣制とは
異なる執政制度とされる。
◇ さて、選挙制度を基準に
大統領制と議院内閣制を考えると、
北朝鮮の執政制度は1948年から
現在に至るまで議院内閣制を採用してきた。
選挙は議会選挙だけである。
これは中央である
最高人民会議だけではなく、
地方の人民会議も同様だ。
日本のように、中央は 議院内閣制、
地方は大統領制を採用する混合型ではない。
◇ 北朝鮮では1948年の建国から
現在に至るまで、
立法機関は最高人民会議である。
執政長官は最高人民会議で選ばれ、
最高人民会議に責任を負ってきたので、
北朝鮮は議院内閣制である。
ただし、北朝鮮の権力関係を理解するのに、
選挙制度を基準に大統領制と議院内閣制を
分類してもあまり意味がない。
この分類は、行政機関と立法機関の
権力関係を理解するためのものであって、
民主主義国家だからこそ意味がある。
支配政党に権力が集中する
北朝鮮のような非民主主義国家では意味がない。
つづく
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