◇ 北朝鮮で2019年3月10日に、
中央議会である最高人民会議の
第14期代議員選挙が実施された。
建国以来、14回目の選挙である。
しかし、極めて異例な結果が発表された。
当選した687名の代議員の名簿が
発表されたところ、
そこに、北朝鮮の最高指導者である
金正恩(キム・ジョンウン)の
名前がなかったのだ。
北朝鮮の支配政党である
朝鮮労働党のリーダーが、
最高人民会議の代議員に
当選しなかったのは、
史上初めてのことである。
◇ 前兆はたしかにあった。
中央選挙委員会は、1月8日、
第14期最高人民会議代議員選挙を
3月10日に実施すると発表。
さらに3月7日には、すべての選挙区に
代議員の候補者を登録したと発表した。
しかし、この時も、金正恩を候補者として
登録したと発表してはいなかった。
つまり、そもそも金正恩は選挙の候補者として
登録されていなかったことになる。
◇ このままでは金正恩は、
最高人民会議代議員だけでなく、
国家の執政長官である
国務委員会委員長の職務も
失うことになる。
北朝鮮の執政長官は現在まですべて、
最高人民会議の代議員から選ばれてきた。
金正恩が選挙を通じないで執政長官になれば、
諸外国で揶揄されてきたように
君主制(王朝)になってしまう。
それは 朝鮮民主主義人民共和国 では
なくなることを意味する。
◇ ただし、国名を維持しながら、
金正恩が政府の執政長官になる
方法が一つある。
それは現在の議院内閣制から
大統領制に移行することだ。
◇ もちろん、そのためには
憲法改正が必要になる。
新たに当選した最高人民会議の代議員による
第1次会議が4月に開催されるはずなので、
おそらくそこで憲法を改正するのであろう。
そして、新たに大統領選挙が実施され、
直接選挙によって「推戴」された
執政長官である金正恩が
誕生することになると考えられる。
つづく
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