◇ ふるさと納税」制度を取り巻く状況が
大きく変わっている。
「一定範囲であれば、寄付金は税控除」
かつ
「返礼品をもらえる」 という
納税者がほぼ損をしない仕組みは、
2017年度で 総額3653億円 という
カネの争奪戦を生んだ。
◇ 税収が流出する「都市部」vs「地方」、
行き過ぎた返礼品を批判する
「総務省」vs「地方」の論戦から、
さらには「地方vs地方」で批判の応酬が
交わされる事態にまで発展している地方創生。
◇ これがふるさと納税の大義名分だ。
域外居住者などから寄付金が
集まるのだから、
財政の悪化する自治体にとっては
渡りに船だろう。
だが、見落とされがちだが、
地方活性化の効能はそれだけではない。
◇ 多くの場合、
自治体は返礼品を寄付者に発送する。
その返礼品の製造や発送を担うのは、
これもやはり多くの場合、
寄付を受けた自治体の業者だ。
寄付金に対する返礼品の価格を
3割以内とせよというのが
総務省の方針なので、
仮にこれを全自治体が
厳密に守ったとすると、
2017年度をベースに計算して
1000億円近い「発注」が、
自治体から主に地場業者に
なされたことになる。
実際には3割の指針は守られていないし、
2018年度のふるさと納税総額は
2017年度のそれを上回る可能性が高いので、
これ以上の発注があったと考えてよいだろう。
◇ 地場業者の業績が好転すれば、
その下請けなどへも波及効果が発生する。
税収の向上も見込めるかもしれない。
九州地方のある製造業者は、
「ふるさと納税のインパクトはすごい。
返礼品に指定されてから
売り上げが2倍になった」
という。
寄付金が集まって地場産業も潤うとは
「いいことずくめ」のように見えるが、
本当にそうなのか !
上記業者はこう続ける。
「宣伝は市がやってくれるので、
発注に応えて作ればいいだけ
だが手が回らない。
生産設備の増強を検討している」
実はこの“他人任せ”に危機が潜んでいる。
つづく
今日一日の人生を大切に!