◇ ブルームバーグが
「中国の空き家が5,000万戸」と報じた。
<ブルームバーグ >
経済・金融情報の配信、通信社・放送事業を
手がけるアメリカ合衆国の大手総合情報サービス会社。
ご承知のように、中国の経済統計は
信頼に足るものが少ない。
日本の省庁もいい加減ではあるが、
その日本とは次元が違って、
集計の基準が定まっておらず、
著しく任意だからだ。
中国の経済統計には、
かつてのソ連のような計画経済のものが多い。
ソ連では、
製造された商品の価格は政府価格であり、
売れ残った在庫があっても下がらない。
中国の新築住宅の価格も同様で、
日本や米国のように、
市場の売買で価格を決めたものではない。
また新築住宅価格やGDP統計には、
作りすぎて残った住宅在庫の、
値下がり統計が入っていない。
GDPはこの値下がりしない生産額を集計する。
従って中国のGDPはまったく当てにならない。
◇ こんな中国でも、
株式市場の株価は売れた価格を採用。
しかし資本(=マネー)を自由化しておらず、
世界市場からは、保護された株価となる。
中国の株価は2018年、
年初の3,500ポイントから2,535へと、
28% も下げた。
時価総額では250兆円という
大きな損失が生じ、
株の形の金融資産は 250兆円
縮小している。
株が250兆円下がっているのに、
住宅価格が下がっていないのは、
新築の売り出し価格の統計だからだ。
売れた価格の統計は公表されていない。
◇ このように共産主義の計画経済では、
在庫が売れたときの価格を
統計では採用しない。
ソ連のGDP統計でも、
商品は政府の統制価格で
全部売れたとされていた。
流通在庫、不良在庫という概念はない。
このため価格は下がらず、
GDPは増え続けていた。
風船のように膨らんだGDPに応じて
増刷されていたルーブルは、
ソ連邦が解体した1991年
(ゴルバチョフの時代)、
暴落(1/1000)して、
ハイパーインフレになった。
紙幣は政府の意思で、いくらでも増刷できる。
通貨の増刷により、砂糖水を水で薄めるように、
マネー1単位の価値を希薄化させる。
◇ 中国の住宅価格も、
新築価格だけを統計する限りは、
下がりにくい。
住宅、不動産、固定資本の建設額は、
そのままGDPになるからだ。
従って政府統計をもとにした、
2012年から6年間の住宅の単価は、
上がり続けた。
5000万戸(新築の5年分)という、
膨大な売れ残り在庫が、
世帯に売れるときの価格を統計したら
どうなるだろうか?
中国のGDPは、
間違いなく2ポイントは低下するだろう。
住宅価格の過大見積もりが原因で、
6.5%が4.5%の成長になるということになる。
それとともに、
銀行とノンバンクの不動産融資は不良化し、
リーマン危機のような金融危機に
向かうことになるのである。
◇ 不良債権は200兆円以上に
なるかもしれない。
米国が1000兆円であるから、
中国は、その1/2の500兆円はあるだろう。
中国では、GDPの中に占める、
住宅と不動産投資、および道路や鉄道、
電力、通信などの社会インフラの投資率が
異常に高く、 45%
(日本では20%:米国では15%)
代わりに、個人消費の構成比が少ない。
◇ 2018年の名目GDPは 13兆ドル
(1430兆円;日本の2.6倍、
米国の2860兆円の半分)
固定資本投資は1年分で、
日本のGDPを超える570兆円(40%)
を占めている。
そのための資金が、
(1)企業負債
(2)政府負債
(3)個人負債
の増加の原因になっている。
特にリーマン危機のあと、
企業負債の増加率が高い。
金融危機になった米欧への輸出の減少を、
中国政府は、住宅建設、商業用不動産、
政府の固定資本の増加で、
補てんする政策をとったからだ。
なるほど、そういうカラクリだったのか。
つづく
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