◇ 中国経済の減速が鮮明だ。
2018年の実質成長率は6.6%と
28年ぶりの低水準で
18年10~12月期は 6.4% に落ちた。
7~9月期比での低下幅は
0.1ポイントにすぎないが、
消費などの主要指標は米中貿易戦争の
影響が本格化した秋以降に急変している。
中国の債務問題も尾を引き、
19年も成長の下振れは必至だ。
危機感を強める中国当局は減税と
金融緩和で景気の腰折れ回避を急ぐ。
◇ 習近平総書記は1月21日、
政府高官らを集めた党会合で
「経済が直面する国際環境と国内条件は
深刻で複雑な変化が生じている」
と強調した。
経済運営に細心の注意を払うよう指示した。
通年の成長率は天安門事件の余波で
経済が低迷した90年以来の低水準である。
昨年10~12月の成長率は
リーマン・ショック直後の09年1~3月以来
9年9カ月ぶりの低さだ。
◇ 実態の深刻さを見るには
個別の指標を見る必要がある。
例えば小売売上高。
統計の精度が高い中堅以上の伸びは
春先の9%から 11、12月は2%台に失速し、
物価上昇を考えると実質ゼロ成長だ。
輸入も10月の21%増から12月は
8%減に一気にマイナスに転じた。
卸売物価指数の上昇率も
12月は0.9%まで縮んだ。
内需の異変がうかがえる。
◇ 秋からは主要製品の生産量も落ちこんだ。
ロボットや工作機械など
米国の追加関税の対象製品のほか、
スマホや自動車の生産も前年水準を下回った。
販売不振で製品在庫が積み上がり、
減産を迫られたとみられる。
◇ 中国中部、河南省鄭州市。
米アップルのiPhoneを組み立てる
世界最大の工場である台湾の鴻海精密工業は、
昨年10月ごろから工場従業員を
5万人規模で減らしたという。
雇用悪化は消費のさらなる
押し下げ要因となる。
◇ 影響は日本企業にも及ぶ。
日本電産は中国での車載や
家電のモーター販売が減速、
19年3月期の業績予想を下方修正した。
産業用ロボットの安川電機も、
今期2度目の業績下方修正。
「11、12月に尋常でない変化が起きた」とみる。
インフラ投資は17年の19%増から
18年は4%増に失速、
債券の債務不履行も過去最高を更新した。
◇ 現時点では中国当局は公共投資の
バラマキには慎重だが、
成長率が6%を一時的にでも割り込めば
なりふり構わない対策を取る可能性がある。
事は我々が考えている以上にかなり深刻だ。
中国経済の減速がトリガーとなり、
世界経済まで失速しかねない。
2019年後半以降、
バブル崩壊の予感がする。
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