◇ ピーター・ドラッカーは、
青年期にヒトラーの政治的手法
に代表されるファシズムを体験した。
全体主義によって人間や社会が
瞬く間に変容してしまうのを
目の当たりにしてきた。
この原体験が、彼を「マネジメント」
の研究に向かわせることになる。
「われわれは、人間の本質
および 社会の目的についての
新しい理念を基盤として、 自由で機能する
社会をつくりあげなければならない。」
(ドラッカー「産業人の未来」)
「ファシズムが二度と出現しないように、
できる限り早く新しい自由な産業社会を
作る必要がある。
そして、その社会を作るのは、
政府や政治家や官僚ではなく、
『企業経営者(マネジメント)』だ」
と若きドラッカーは提言した。
経営やマネジメントこそが、
自由で機能する社会を築く上で
不可欠な条件だと確信したからだ。
ここに、多くの人が注目し、
General Motors(GM)の副社長から
同社を調査研究する依頼を受けることになり、
ドラッカーのマネジメントの世界への
入り口が開かれた。
◇有害なリーダーの過激な言動に
同調してしまう心理の根底にあるのは、
人間の「不安」「不満」「絶望」
当然のことながら「経済的不満」が
最も深いところにあるはずだ。
つまり、
仕事がない、給料が上がらない、
生活がどんどん苦しくなる、
という不満。
◇ そこでドラッカーは、
「個々人の能力を生かし、
マーケティングとイノベーションによって
顧客が喜ぶ価値を創造し、
高い倫理観によって社会に貢献し続ける
組織が増えることで、経済的な問題を民衆が
自ら解決できるようになる。」
という答えを出した。
我々がが、毎日関わっている様々な仕事や
活動における「マネジメント」が、
幸福に人々が暮らせる健全な社会を
築く上で大きな力になると彼は考えた。
「マネジメントとは、
現代社会の信念の具現である。
それは、資源を組織化することによって
人類の生活を向上させることができるとの信念、
経済の発展が福祉と正義を実現するための
強力な原動力になりうるとの信念の具現である。」
(ドラッカー「現代の経営」)
つづく
今日一日の人生を大切に!