◇ 自動運転車の実用化に向け、
警察庁は、昨年12月20日、
道路交通法の改正試案を公表した。
一定の条件下でシステムが運転を担うが
緊急時はドライバーが操作する
「レベル3」の走行を可能とする。
自動運転中のスマホや携帯電話の使用も認めた。
同庁は次期通常国会に法案を提出、
2020年前半の施行を目指す。
◇ 自動運転は技術レベルにより、
ハンドル、アクセル、ブレーキ操作の
いずれかが自動の レベル1 から、
人間が一切関わらない レベル5 まで
5段階に分かれる。
レベル3 は、道路の種類や
車の速度など一定の条件下で
システムが運転を担うが、
条件外になったときは
システムの求めに応じ
ドライバーが運転を代わる。
政府の計画では20年に高速道路で
レベル3 が実現する見通しだ。
試案は一定の条件下で
システムが運転を担うレベル4 や、
条件なしにシステムが運転を
担う レベル5 には対応していない。
レベル4 や 5 の法整備は今後検討する
ということになる。
◇ 試案は自動運転車を
「自動車を運行する者の運行に係る
認知、予測、判断および操作に係る能力の
全部を代替する自動運転システム」と定義。
システムにより自動車を使用する行為を
同法上の「運転」と位置づけた。
その上で、運転中のスマホや携帯電話の操作や
カーナビゲーション画面の注視を禁じた
現行の道交法の規定を適用しないこととした。
すぐに手動運転に切り替われることが前提。
飲酒や睡眠は認めない。
現在の道交法は安全運転の義務を
ドライバーに課している。
こうした義務は自動運転であっても
変わらないとした。
◇ 車両の不具合や事故の際に
原因究明をしやすくするため、
車両に運行データの記録装置の
装備を義務付け、
メーカーに対し警察がデータ解析に協力を
求めることができる規定も盛り込んだ。
◇ 自動運転をめぐっては事故時の
責任問題が焦点となっている。
政府が4月に定めた大綱では、
民事上の賠償責任は一般の車と同様に
ドライバーや車の所有者が負うが、
車両や仕組みに欠陥があれば
メーカー側が製造物責任を問われるとされた。
刑事上の責任はなお課題だ。
現在、自動車の事故はドライバーの
責任とされることが多いが、
自動運転中は整備不良など以外に
過失を問うのは難しいとの見方もある。
法整備はこれからだが、
クルマ社会のあり方が
大きく変わるのはまちがいない。
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