◇「貯金好き」と知られる日本人だが、
若い世代にある異変が起きている。
昨年スタートした「新しい投資」
利用者の4割以上が若い層だという理由に迫る。
◇ 昭和20年、
「戦後ニ於ケル国民貯蓄増強方策」
が制定されたことで、
政府が国民に対して貯蓄を奨励。
以後、国民の間には「貯金すること」を
「美徳」とする感覚が根づき、
日本人は世界的に見ても
「貯金好きな国民」と言われるようになった。
また、1990年代の“バブルの崩壊”によって、
お金を貯めることの大切さを実感したことも、
「貯金好き」と言われることと
無関係ではないだろう。
◇ では、日本人は実際にどのぐらいの割合で
貯金しているのだろうか。
2015年末のデータをもとに金融庁が作成した、
「各国の家計金融資産構成比」によると、
日本人は資産の 52% を
現金と預金で保有しているのに対し、
米国が 14%、イギリスが 24%と
その差は歴然。
「貯金大国」と
日本が呼ばれる所以がここにある。
◇ だが近年、そんな「貯金大国ニッポン」に
ある変化が起きている。
20~30代が「新しい投資」に
目を向け始めているのだ。
「新しい投資」とは、
「毎月一定額を積み立てる
スタイルの投資のこと」
自分で作る年金制度
「iDeCo(イデコ)」や
少額からの積立・分散投資を
目的に作られた
「つみたてNISA」
などが、それだ。
2018年にスタートした
「つみたてNISA」を始めるために
証券口座を新規開設した人の割合は、
20代が 15%、
30代は 28% となっており、
20代と30代の合計が
40代と50代の合計と
全く同じ割合になっていることがわかった。
◇ 車離れ、ブランド離れなどの
キーワードが取り沙汰され、
「若者たちが消費に対して
消極的になっている」
と言われる中、
なぜ若い世代が、
そうした積み立て投資に
注目し始めたのだろうか?
◇ 野村證券マーケティング部
の調査結果では、
「たとえば、『つみたてNISA』なら、
野村の場合、月々1,000円から始められる。
そうした手軽さが、若い人に馴染みやすかった、
と分析する。
◇ 今まで投資に関心があっても
実際に始めていなかった人たちは、
『投資する前に勉強を!』
とまじめに意気込みすぎていた人だ。
毎月書籍1冊分程度の価格で、
投資しながら勉強できるのは、
魅力だったのではないかと思われる。
加えて、近年の株価上昇などの影響で、
20代~30代のまわりには、
『儲かった人たち』が少なくない。
そのため、投資に対してポジティブな
印象を持っているように感じる。
◇ 思えば、今の30代の多くは、
2008年のリーマンショック以降に
社会人になった世代。
リーマンショックの影響で一時は
7,000円を割った日経平均も、
2015年には2万円台に回復。
その後、若干の揺り戻しはあったものの、
日経平均が1万を割ったことはない。
◇ つまり、今の若い世代は、
「景気が上昇していく日本」と
一緒に成長してきた世代であり、
超低金利の銀行しか知らない世代でもある。
そういう意味で、貯金よりも投資に
関心が高まるのは必然なのかもしれない。
そして、そんな投資意欲旺盛な
若い世代の背中を押したのが、
まとまった資金がなくても始められる
「積み立て型の投資」だったのだろう。
「つみたてNISA」や「iDeCo」などの
非課税枠をうまく利用することが
お金持ちになるコツであることは間違いない。
今日一日の人生を大切に!