◇ 12月1日、中国通信機器大手
ファーウェイのCFOがカナダで逮捕され、
世界に波紋が広がっている。
直接的な理由は
「対イラン経済制裁を回避する
金融取引に関与した疑い」
とされているが、
事はそう単純ではない。
◇ ファーウェイとは1987年に
設立された中国の通信機器会社。
世界170カ国で製品・サービスを提供している。
スマホのシェアは、
サムソンに次いで 世界2位。
ちなみに3位はアップル。
このファーウェイの
最高財務責任者・孟晩舟氏が
12月1日、カナダのバンクーバーで逮捕された。
世界的な企業のCFOが逮捕されただけでも
衝撃的だが、この方の素性がわかると
衝撃度は、200%アップする。
◇ 孟氏はファーウェイ創業者の娘で、
ファーウェイは中国テクノロジー業界の
宝物のような存在である。
逮捕された孟氏は、
「創業者(任正非氏)の娘」
孟氏は実質的に、そのお姫様になる。
◇ 中国では結婚しても男女ともに
姓が変わらないが、
孟晩舟氏は両親の離婚で母方の姓を
名乗っているため、任正非との親子関係は
長らく知られていなかった。
父親(ファーウェイ創業者)は任氏。
母親は孟氏。
彼女は、母方の姓を名乗っているので、
親子だとばれなかった。
むしろ創業者の娘であることを隠していた。
ファーウェイ入社から2011年の
CFO就任まで任氏との親子関係を伏せ、
一社員として同社の成長を支えてきた。
“異色の二代目” である孟氏は
地味ながらも能力・人柄ともに
高い評価を受けており、
要は、「親の七光り」ではなく、
実力で出世してきた人物である。
◇ 孟晩舟は1972年生まれで
今年46歳。
大学を卒業後、国有銀行の
中国建設銀行で1年働き、
1993年にファーウェイに入社した。
創業7年目のファーウェイは当時、
代理店からメーカーに脱皮しようとしていた
小さなベンチャー企業に過ぎなかったが、
孟氏は高校生のときに両親が離婚し、
姓を「任」から母方の「孟」に改めたため、
ファーウェイ入社後も長らく
“その正体”を知られることはなかった。
◇ 彼女は受付からキャリアをスタートし、
コピー取りや商品リストの作成、
展覧会の準備といった業務に3年間従事。
その後いったんファーウェイを離れ、
華中理工大学・大学院で会計学を専攻、
1997年の復職後は一貫して財務畑を歩んだ。
◇ 孟晩舟氏と任正非氏の
親子関係が公表されたのは、
彼女がCFOに就任した 2011年だ。
入社から18年も正体を隠していた。
そして、孟氏は2018年、
「次期CEOの有力候補」に浮上する。
中国で孟氏への注目が
一層高まったのは 2018年3月。
彼女が取締役会メンバー入りし、
任正非氏に代わって副会長に
就任したことがきっかけだ。
◇ 圧倒的な権限を持つ任正非氏は
今年74歳を迎え、ファーウェイの
後継者問題も注視されていた。
任正非氏は以前から
「ファーウェイをオーナー企業に
するつもりはない」
と語っており、
2011年には権力の集中を防ぎ、
変化により素早く、的確に対応するため、
2011年に3人が半年交代でCEOを担当する
輪番CEO制度を導入した。
◇ 後継者はこの3人か、
任正非氏の長男で、
孟氏の兄である任平氏の
いずれかになると予想される中、
任平氏ではなく、
孟氏が取締役に就いたことは、
後継問題の大きなメッセージと
受け止められた。
長男ではなく、娘の孟さんが
後継者になる可能性が高まっていた。
ところで、なんで逮捕されたのか。
まず、直接的な理由から説明することにする。
つづく
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