◇ 第2次大戦中に強制労働をさせられたとして
韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に
損害賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審で、
韓国大法院(最高裁)は先月、
同社の上告を退ける判決を言い渡した。
4人に請求全額の計4億ウォン(約4千万円)の
支払いを命じたソウル高裁判決が確定した。
◇ 日本政府は元徴用工の請求権問題は
1965年の日韓請求権協定で
解決済みとの立場で、
同社も同様の主張をしたが認められなかった。
日本政府は戦後の日韓関係の法的基盤を
揺るがしかねない判断だとして強く反発している。
韓国政府は日韓関係に関し
「未来志向的に
発展させていくことを希望する」
との立場を発表したが、
今後の対応次第では両国の外交関係や
経済交流にも悪影響を及ぼしそうだ。
◇ 最高裁は先月の公判で
個人の請求権は協定では
消滅していないと判断した。
ただ判事13人のうち2人は協定によって
「個人の請求権は
行使できなくなっている」
と判決とは異なる見解を示した。
韓国での元徴用工による
戦後補償訴訟で、
日本企業に賠償を命じた判決が
確定するのは初めて。
韓国の元徴用工支援団体によれば、
ほかに14の同様の訴訟で
日本企業計約70社が被告となっている。
30日の最高裁の判断によって、
これらの訴訟でも日本企業の敗訴が
相次ぐ可能性が高まりそうだ。
さらに元徴用工による類似の訴訟が
新たに起きる可能性もある。
◇ 日韓が国交正常化に伴って
締結した請求権協定は、
両国と国民の間の請求権の問題を
「完全かつ最終的に解決された」
と明記している。
日本政府と韓国の歴代政権は
個人の請求権についても
同協定にもとづき解決済み
との立場を取ってきた。
日本側は、日韓の1965年の
請求権協定を根拠に請求権は
放棄されているという主張のようだが、
個人の請求権まで放棄できるのかは
別次元の問題だ。
国家間の約束であろうと、
勝手に国民の財産権を制約できるか、
(損害賠償請求権も立派な財産権)
という問題でもある。
つづく
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