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ヒエラルキー階層がない会社が東証一部に上場 ① vol.390

 

◇ 社長の下には役員・管理職がいて、

     その他多くがヒラ社員――。

 

日本に限らずヒエラルキー型の組織は

企業の一般的な姿だ。

 

そんな中、

 

上司や部下も命令も階層もない企業が

6月、東証一部に登場した。

 

指示を受けず自分で考え

自分で動く自律型スタイルだ。

 

そんな「性善説」経営で

本当にビジネスが回っているのか?

 

◇ 午前9時、「朝会を始めまーす」

 人材紹介や求人サイト運営を手がける

 アトラエの東京・麻布十番にあるオフィス。

 

今週の司会役の社員が

大きな声で呼びかけると

50人弱の社員が集まった。

 

「うちのチーム、営業の動きを少し変えてみます」

 

「月末締めの経費精算など忘れていませんか」

 

事業ごとに分かれた4つのチームが

その週の連絡事項や

プロジェクトの進捗を報告していく。

 

毎週月曜日に全社員が参加する

通称 「朝会(あさかい)」

 

子育て中の社員も

インターネットを通じて加わる。

 

◇ アトラエは今年6月に東証マザーズから

     1部に昇格したばかり。

 

2018年9月期の売上高は

前期比22.9%増の 22億4900万円

 

営業利益は同18.9%増の

6億6500万円 を見込む。

 

人手不足で人材紹介業の市場は

好況とはいえ、

 

同業他社もひしめく中、

8期連続の増収増益を達成。

 

◇ アトラエでは全社員が参加する会議や

    社内チャットで情報の共有を徹底している。

 

会社法でどうしても必要な取締役や、

 

CEO(最高経営責任者)、

CFO(最高財務責任者)

 

といった役職は置くが、

 

それ以外は基本的に肩書はない。

 

そのため

 

出世・昇進という概念もない。

 

CEOの新居佳英氏は、

 

「何かを実現するために勝手に動く

    スポーツチームのような組織」と表現する。

 

「意思決定の権限を現場に降ろした方が、

   適切で早い。そのために情報は

   すべて共有しておく必要がある」

 

と新居氏はいう。

 

◇ アトラエのようなフラットな組織運営は

ホラクラシー(Holacracy)」と呼ばれる。

 

語源は物理学や哲学で使われる「holon」で、

「部分でありながら全体でもある」

という概念を示している。

 

2007年ごろから米国で始まり、

民泊仲介のエアビーアンドビーや

ネット通販のザッポスが採用し、

一つの潮流となった。

 

経営学の世界では

「ヒエラルキーかホラクラシーか」

といった優劣を論じ合う動きが活発だ。

 

◇ アトラエは8期連続で増収増益を続けている。

 

ホラクラシーが成立する条件の第一は、

 

           「情報共有」

 

通常の会社で階層がなりたっているのは、

持っている情報に格差があるからだ。

 

課長より部長が、部長より取締役が、

持っている情報が多い。

 

アトラエにはまず、この情報格差がない。

 

◇ ある大手人材企業の担当者は、

  「ウチではありえない」と話す。

 

新規登録や解約情報の共有は、

良くてもマネジャークラスまで。

 

「末端の社員に伝われば動揺が広がるし、

情報が漏れる可能性も高まる」(同担当者)。

 

由らしむべし、知らしむべからず――。

 

部下の知らない情報を

持っているからこそ上位は優位に立つ。

 

そこに指揮・命令関係が生まれ

組織が機敏に動く。

 

アトラエの場合、そのメリットを放棄してでも、

危機感を共有してフラットにアイデアが

吸い上がる効果を重視したといえる。

                                           つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

トンビ博士

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