◇ MaaSが生まれた背景は、
従来の「クルマを保有するスタイル」から、
「どのようにクルマを活用するか」
に変えることだ。
1人当たりの支出項目で、
住宅関連に次いで2番目に大きいのが
移動に関する支出。
西ヨーロッパでは、1人当たり300ユーロ/月を
(約4万円)支払っていて、
モビリティ関連の支出は情報通信の10倍もある。
移動に関する支出額の実に85%が
クルマの保有コストといわれ、
鉄道やバス、タクシーなどに対しては
十分にマーケットが開かれていない。
これほど負担の多いクルマを保有するよりも、
タクシーや鉄道、バスを組み合わせて移動したり、
必要なときに高級車を借りたりするくらいで
十分ではないだろうか。
◇ 使うものだけにお金を払えば、
フェラーリに乗ることも可能になる。
そのようにライフスタイルを変えれば、
クルマの購入や駐車場料金などの保有に
関わる支出を減らすことができ、
駐車場も最低限で済むから
都市空間の有効活用につながる。
これは、日本でも同様のことが言える。
◇ 東京は特に駐車場料金が高く、
50%以上のクルマが1週間に1回以下
しか利用されていない。
その意味では、世界で最もMaaSに
適した都市だとトンビは感じる。
クルマの所有を減らすかもしれない
MaaSの動きに、自動車メーカーは戦々恐々だ。
自動車メーカーはクルマの製造・販売を
今まで通り継続したいが、その市場には限りがあり、
事業拡大を続けるために、
自動車マーケットとモビリティマーケットを
合わせる必要に迫られている。
◇ 例えば、独BMWは、16年の
FIAモビリティカンファレンスで
「すべてはモビリティを売るためだ」と発言。
米ゼネラルモーターズのCEOも、
同年の世界経済フォーラムで
「クルマ産業が今後5年間で、
過去50年間に比べて大きな変化を
遂げると予想する」と語るなど、
多くの自動車メーカーは
将来的にモビリティプロバイダーに
なろうとしている。
◇ 移動に関する支出のほとんどは
クルマの保有コストで、
公共交通やタクシーなど
他の移動サービスには 15%しか使われていない。
もしクルマを保有するマーケットが解放されれば、
公共交通などへ個々人が支払う額が増え、
公共交通は自家用車の保有と
競争することができる。
自家用車の負担がなくなると、
公共交通をはじめとするモビリティサービスに
支払う余裕が生まれる。
◇ 都市によるが、人は平均的に1日4回、
約7km移動する。
その際、自家用車を使うのではなく、
公共交通や自転車に乗ること、
そして歩くことで、
より安い移動手段に
シフトさせようというのが、
MaaSグローバルが
展開するアプリ「Whim」のロジックだ。
アプリ「Whim」は16年にサービスを開始し、
その後に一般サービスへ広げた。
18年4月には、英国のウェストミッドランドで
月額定額プランを含むサービスを開始。
ベルギー、オランダ、オーストリアでも
開始の準備をしている。
加えて、シンガポール、カナダ、
米国、ヨーロッパの都市と調整をしている。
MaaSは 一つのムーブメントだ。
クルマを個人で買う時代は終わりを告げる。
MaaSが未来の社会のあり方を
大きく変えるのは間違いない。
完
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