◇ まさにウイスキーブームを
象徴するような出来事だった。
2018年1月、日本のウイスキー業界に
衝撃的なニュースが飛び交った。
サントリーのシングルモルトウイスキー
「山崎50年」が香港のオークションにかけられ、
1本 3250万円 という、
信じられない価格で落札されたのだ。
「山崎50年」は、2011年に1本100万円で
販売された。
150本限定で売り出されたこの商品は、
発売から7年の時を経て、
実に32倍の金額で取引されたことになる。
主催していたのは、競売大手のサザビーズ。
ピカソやゴッホの絵画など、
高額な美術品をメインで扱うことで知られる
世界最古のオークション主催会社だ。
「サザビーズで競売にかけられるなんて、
ひと昔前ではあり得ませんでした。
まるでジャパニーズウイスキーが
ハイブランドになったようで、
少し戸惑っているくらいです」
とサントリー関係者はいう。
◇ もちろん3250万円という価格は、
国産ウイスキーの落札額としては、
過去最高額だった。
ただ、オークション業者によると、
近年ジャパニーズウイスキーが
高値で取引されることは
決して珍しいことではないという。
2016年には、同様に「山崎50年」が
850万円で落札され、
2017年にはオンラインオークションで、
52年熟成された「軽井沢1960」に
1400万円 の値がついている。
しかも値段が高騰しているのは、
1本数千万円で取引される
超高級ウイスキーだけではない。
1本数千円のウイスキーに
数万円の値がつくことはザラで、
在庫が底をつき、販売停止に追い込まれる
商品まで出てきている。
ちなみにメルカリを先日確認したら、
「白州18年」が6万円で売りに出されていた。
◇ 今、世界では空前の
ジャパニーズウイスキーブームが
巻き起こっているのだ。
しかし、こうした華やかなブームの裏側に、
それを仕掛けた「一族」がいることは
あまり知られていない。
ベンチャースピリット溢れるその家族は、
約100年前に日本でウイスキー製造を始めた。
そして、独自のブレンド技術や
製造ノウハウを蓄積していき、
地道にジャパニーズウイスキーを
世界ブランドにまで育て上げてきた。
鳥井家── 国内最大の総合飲料メーカー
サントリーの創業家である。
つづく
今日一日の人生を大切に!