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トランプ大統領の「ツイッター砲」に騙されるな ①    vol.340

 

◇ 今回のトルコ・ショックは、

 「トルコ通貨危機」にまで発展しても

    不思議ではない。

 

すでにトルコ・ショックは、巡り巡って、

イタリア国債の利回りを急騰させている。

 

「トルコ・ショック第二ステージ」

呼ぶべきものが待ち構えているのだ。

 

その中には、もちろん、

「テスラの経営不安」も含まれている。

 

そして、エルドアン大統領は、

アルゼンチンのようにはIMFに

救済を求めないだろう。

 

かつてのロシアが、1998年8月の

ロシア通貨危機の時に、アメリカの発言権の

強いIMFに救済を求めなかったように、

 

トルコもIMFには救済を求めないと考える。

 

アメリカの発言権の強いIMFが

20年前のロシアを見捨てたように、

 

トルコを見捨てるのではないだろうか。

 

◇ そういえば、1998年の8月に起きた

  「ロシア通貨危機」が思い浮かぶ。

 

このロシア通貨危機は、

アメリカの著名なヘッジファンド

「LTCM」を破綻へ追いやった。

(ロングタームキャピタルマネージメントの略称)

 

「LTCM」は、金融工学専門の

ノーベル経済学者たちが数人集まって

設立したヘッジファンドだった。

 

当時は、

「金融工学を駆使する

         天才たちのヘッジファンド」

 

ということで、

多くのアメリカ富裕層から熱狂的に支持され、

巨額の資金を集めていた。

 

その天才たちが運営する「LTMC」は、

想定外の「ロシア通貨危機」

巻き起きたことで、あっけなく破綻していった。

 

1998年当時のFRB議長は、

 アラン・グリーンスパン だ。

 

当時のグリーンスパン議長は

「LTCM」の破たんを救済する。

 

さらに、金融政策を緩和へと大転換、

危機直前のアメリカ経済を救った。

 

当時政策金利を9月から12月にかけて

「わずか4か月で0.75%引き下げ」ている。

 

そして、このグリーンスパンFRBによる

「低金利政策への大転換」は、

 

すでに始まっていた  ITブーム を

「ITバブル」へと加速させていくことになる。

 

「トルコの関税を2倍に引き上げ」は、

     確信犯ではないだろうか。

 

トルコリラの下落は今に始まったことではない。

 

ここ3年間以上前から下落している。

 

トルコの独裁者・エルドアン大統領の

経済政策が支離滅裂だったからだ。

 

トルコでは、リラ安が原因で

悪性のインフレが起きているのに、

 

エルドアン大統領は中央銀行に圧力をかけて、

中銀に長らく利上げをさせなかった。

 

そして8月になって

トランプの「ツイッター砲」が炸裂。

 

それがダメ押しとなり、

トルコリラはさらに暴落した。

 

結果としてトルコ・ショックは、

「テスラの経営危機」よりも

マーケットの注目を集めることになる。

 

◇ さて、テスラのイーロン・マスク氏が先日

 

「1株当たり420ドルでテスラを

    非公開にできないか考えている。

    資金調達の目途はついている。」

 

と唐突にツイートしたことは、

大いにマーケットの衆目を集めた。

 

この「資金調達の目途はついている」というのは、

マスク氏の「はったり」だという噂もある。

 

目途なんかまったくついていないようだ。

 

そして、8月16日のニューヨーク・タイムズ紙の

インタビューに応じている。

 

「この1年は、今までに最も困難で、

   苦痛に満ちた1年だった」

 

と告白し、かなり精神的にも参っているようだ。

 

目下のところ、テスラは、

サウジアラビアの王様をはじめ、

 

様々な投資銀行など、

MBOの資金提供者「探し」に

奔走しているところだ。

 

MBOには総額700億ドルもの

膨大な資金が必要になる。

 

イーロン・マスク氏は確かに稀に見る天才。

 

だが、テスラモーターズにはかねてより

資金ショートのうわさが絶えない。

 

そういった「悪い噂」を、マスク氏は

「スペースX(火星移住計画)」などの

大風呂敷でなんとか誤魔化していた。

 

信じられないことだが、

この「スペースX」の大風呂敷で、

 

支持者たちはますますマスク氏を

熱烈に支持している。

 

近日中にも、マスク氏と投資銀行団との間で、

「テスラの非公開化」のための

膨大な資金が調達可能かどうか、

 

「初めての話し合い」が持たれるようだ。

 

今週中にも、テスラが銀行団との

合意に失敗して「非公開化」

夢物語に終われば、

 

テスラの経営難が露呈し、

破綻の危機に直面することになる。

 

テスラの経営難が露呈すれば、

    テスラ株は暴落。

 

マーケットは「第二・第三のテスラ探し」

を始めることになる。

 

アメリカのハイイールド債市場も

無事では済まないだろう。

 

テスラ経営難の露呈で、

アメリカのハイテクブームも、

陰り始めるかもしれない。

                              つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

トンビ博士

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