◇ 電通の「働き方改革」の1つである
業務の一部をロボットで代替する
「RPA(Robotic Process Automation)」
が注目を集めている。
その内容は次の通り。
・働き方改革を成功させるための体制の作り方
・月に1度は週休3日を設けるのはなぜか
・AIは雇用を奪うのか
・そして業務を機械化した先にある
驚くべき本当の目的とは何か。
◇「RPAを活用した業務の効率化」など、
働き方改革では、現場をその気にさせるために
いろいろ工夫が必要だ。
その中でも最重要は
やはりトップのコミットメントということになる。
電通は改革を始めてから、原則22時以降、
翌朝5時までは業務を禁止することを
トップ主導で徹底している。
◇ 電通の改革の趣旨は、
・土日などに仕事を離れて休む
・気分を変える、ほかのことを考える
・普段会わない人に会う
・仕事以外の経験をする、知見を広める
こういった取組みが結果的に
新しいアイデアに結びついたり、
本人のモチベーションが向上したり、
仕事にフィードバックされたりと、
よりよい働き方、さらには
よりよい生き方の好循環を作り出すのであると。
◇ 新たに設定された休務日のことを
「インプットホリデー」と呼んでいるのは、
そうした理由からだろう。
そういえば、日本にいち早く
週休二日制を導入した松下幸之助氏も
「一日教養(土曜日)、一日休養(日曜日)」
と言っていたことを思い出した。
見え方は
「1ヵ月に1回週休3日を取り入れた」
のと同様だが、
実際には「インプットのための日」が
一日増えたということだ。
体を休める人もいれば、
将来のために足りないスキルを学んだり、
モチベーションアップのために
その日を有効に使う人もいるわけだ。
もちろん社長以下、役員も率先して
それぞれのインプットのために休む。
◇ RPAを含めた改革で、
電通は2019年度に社員1人当たりの
総労働時間として、
基準年である 2014年の業務時間より2割を
新たに“創出”するという目標を掲げている。
「業務時間の2割削減」とは明らかに違う。
単にコスト削減のためでなく、
人間を単純労働から開放し、
その時間をさきほど言った
インプットに使うのだ。
◇ いろいろなことを考え、
新しいものを生み出すための時間
という意味を込めて、
効率化した分の時間を
「創出時間」と呼んでいる。
ただ、RPAだけでは創出時間は
全業務時間の数%にとどまり、
とうてい「2割」は達成できない。
それでは、2割を創出するという
目標に合わせ、創出時間を拡大するには、
どのようにするのか。
人間の業務のリプレースと並行して、
今後はオーギュメンテーション(拡張)
も行っていくという。
同じことを速くやるだけでなく、
同じ時間をかけるならより多く、
難しいことができるようにする。
たとえば、何かを調べるときに、
その対象の範囲や深さを何倍にも
広げるといったことだ。
インプットに次ぐインプットを繰り返し、
個人の能力を高め、時間創出につなげていく。
つまり、個人のレベルアップが
働き方改革がうまくいくかどうかの
ポイントとなるようだ。
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