◇ その人の生活習慣と密接に
関わっていることは周知の事実です。
たとえば肺がんは、喫煙だけでなく
受動喫煙によっても発症リスクが
上がることが分かっています。
胃がんの場合は、喫煙に加え、
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染も
発症リスクを上昇させます。
では、男女ともに罹患率が高い
大腸がんはどうなのでしょうか。
◇ 国立がん研究センターでは、
国内外の最新の研究結果を基に、
日本人のがんと生活習慣との
因果関係の評価を行い、
ホームページで公開しています。
この評価は、
「データ不十分」⇒「可能性あり」
⇒「ほぼ確実」⇒「確実」
の4段階の順に
科学的根拠としての信頼性が高くなっています。
◇ この評価によると、
大腸がんのリスクを高める要因の中で
「確実」になっている唯一の要因が飲酒です。
次に信頼性が高いのが「肥満」で
「ほぼ確実」となっています。
国立国際医療研究センターで
合計約20万人のデータを解析した研究では、
男女ともに過度の飲酒で大腸全体
そして結腸、直腸がんのリスクが
上がるという結果になりました。
◇ ご存じのように、日本人は人種的に見ても
アルコール耐性が弱い方が多くいます。
アルコール耐性の強い欧米人は、
1日2合未満の飲酒では大腸がんのリスクが
上昇していないのに対し、
日本人は1.4~1.8倍もリスクが上がります。
しかし、飲酒が大腸がんを引き起こす
メカニズムはまだはっきりと
解明されていません。
アルコールの代謝産物である
アセトアルデヒドには発がん性があり、
これを分解する酵素の働きが悪い人や、
日常的に多量飲酒が習慣化している人は、
アセトアルデヒドの毒性に
さらされる時間も長くなります。
しかし、アルコールの代謝に関わる
遺伝子型と大腸がんの関連性を
調べた最近の研究では、
必ずしも明確な関連性は出ていません。
このため遺伝的な体質ではなく、
腸内細菌の働きによって
アルコールから生成された
アセトアルデヒドが葉酸の吸収や働きを
阻害することにより、
大腸がんの発生リスクが高まるのではないか
という説が有力になっています。
また飲酒が確実にリスクを高めるがんは、
大腸がんだけでなく、
食道がんや肝臓がんもあります。
がんになるリスクを避けるために、
みなさんも適量飲酒を心がけましょう。
今日一日の人生を大切に!